*ネタバレあります。
人口約3500人の沙々来島で、知らないあいだに住民が「鉄民」と呼ばれる機械人形に少しずつ入れ替わっていく話。
「スナッチャーに似ている」という感想を見かけて、懐かしくなり購入。
「鉄民」は「主人公が人間ではなく、既に入れ替わり済みの『鉄民』だった」と設定が捻られている。
多くの場合「人間対入れ替わっている者」になるところ、「鉄民対鉄民」「様々な思惑を持つ人間対鉄民」になるところは新鮮だった。反面、怖さは目減りしてしまっている。
他はどこかで見たことがある設定が多く、もうひとひねりくらい欲しかった。「鉄民」の目的や電話の主の正体は引っ張ったわりには、とってつけた感があり拍子抜けだった。
ドームにいた鉄民は、島に送られた鉄民のスペアだったのか? 実路たちの前で人間のフリをしていた理由がよくわからなかった。
どんでん返しの結論ありきの話のように見えてしまい、ひとつひとつの素材がうまくいかされておらず、全体がぼんやりしたまま終わってしまった。
波多野先生や茜など面白くなりそうなキャラもいたのに、キャラも話もふくらまず生かされずもったいない。
終盤の「鉄民・実路」の献身は良かったので、この辺りをもう少し掘り下げて描きたかったのかもしれない。
途中までは面白かったけれど、謎の出し方は良かったのに解答が駆け足すぎて期待値のぶんだけがっかりしてしまった、というのが正直な感想だ。
自分の中で入れ替わりホラーの傑作と言えば、ゲームブックの「ティーンズ・パンタクル」
誰が敵で誰が味方かわからない、よく知っているはずの人がまったく別のものになっているかもしれない不安と疑心、恐怖を味合わせてくれる。
主人公の視点が自分の視点と重なるゲームブックとの相性の良さが抜群だった。
「入れ替わりホラー」は設定が既に面白いのだから面白いだろう、と思っていたけど、意外と難しいんだなあ。
「スナッチャー」は最後のオチは覚えているのだけれど、「ポリスノーツ」はプレイしたはずなのに何ひとつ覚えていない。
久しぶりに思い出してあらすじを読んだら、滅茶苦茶面白そうだった。
「記憶を消してもう一度やりたい」とよく口にするけれど、せっかく記憶が消えているのにプレイできない。
スマホアプリで出してくれないかなあ。