うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

「俺がいるだけで、周りが不幸になる」罪悪感キャラは、恋愛と相性が悪いからこそ恋愛モノと相性がいい。

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「罪悪感キャラ」とは、罪悪感が極まっていていっぱいいっぱいの状態のキャラのことだ。(造語)

先日14巻が出た「中卒労働者から始める高校生活」の主人公・片桐真実は、絵に描いたような「罪悪感キャラ」だ。

中卒労働者から始める高校生活 10

中卒労働者から始める高校生活 10

 

 *「罪悪感キャラ」はこういう顔をしていることが多い。

 

「罪悪感キャラ」は恋愛と相性が悪い。外的要因がなくとも、自分の内部の罪悪感が人と深くつながる上での大きな難関になるからだ。だからこそ「恋愛が主筋のストーリー」と相性がいい。

「相手が好きであればあるほど距離を置きたくなる」ところも、恋愛をしているときの「相手が好きだから側にいたい」状態と矛盾しているため葛藤が生じやすくなる。

「罪悪感」は「自分は悪い存在であり、人のためにならない」という感覚だ。

「俺(私)がいると周りが不幸になる」

「自分は人を不幸にしかできない」

「ただ存在しているだけでは相手にとってマイナス。相手に何かしてあげないと(プラスを与えないと)落ち着かない」

「相手に何かしてあげること(自分は相手の役に立っている、という感覚)があることでようやく安心して側にいられる」

「相手が好きであればあるほど距離を置きたくなる」

この辺りの考えがベースにある。

 

「自分が相手よりも強く、状況をコントロールできる力が(少なくとも相手よりは)ある」

「だからこの状況をどうにかする責任は自分にある」

「相手が苦しむ状況にあるのは、それを解消する責任が果たせない自分が悪い」

こういう思考ルートをたどりやすいので、「相手よりも自分の力が強い」感覚がある場合に(本当にそうかはおいておいて)生じやすい。

男キャラのほうが罪悪感を抱くケースが多いのは、このためではと思う。

 

①「相手にプラスの材料を与えられない」(自分は存在しているだけでは価値がない、どころか相手にとって害悪である)

②「何かマイナス要因が増える」

③「自分が相手を負の状態から救えない事態になる」

こういう状況にになると「罪悪感メーター」が溜まり出す。

特に③が長期にわたって続くとメーターが振り切れてしまう場合が多く、メーターが振り切れると逃げ出す。

「相手が負の状態であるのは、それをどうにかできない自分のせい」と考えてしまい、苦しんでいる相手のためにできることが「相手にとってマイナスの要因である自分を消す」くらいしかないからだ。

 

「罪悪感キャラが『自分のほうが相手よりも強い』と感じている状況(実際どうかは関係ない)」であるだけで「罪悪感メーター」がじわじわ溜まっていく。

罪悪感が極まっているキャラと付き合い続けるのは、カオスフレームを管理するがごとく「罪悪感メーター」を管理しなければならないので大変だ。

罪悪感キャラにやってはいけないことは「目の前で悲しむ、苦しむ」であり、逃がさないためにできることは「相手の状態に左右されず、幸せそうにしている」「罪悪感キャラが自分のためにできることを作る」この辺りがポイントになると思う。

難しいのは「自分のためにできること」が罪悪感キャラにとってできないことだと、「自分は役に立たない→いるだけだと相手にとって害になる気分」が高まり逃げ出すところだ。

「罪悪感キャラができること(できれば得意なこと)」が良い。

 

「中卒労働者から始まる高校生活」の14巻では、女性キャラが総出で真実の「罪悪感メーター」を上げまくっている。莉央と真彩はまだしも若葉まで泣き出したときは驚いた。わざとやっているのかと突っ込みたくなる。

追いオリーブならぬ、追い罪悪感。

 

一人では罪悪感を背負えず「そんなことない」と慰められることが好きなタイプについて、アガサ・クリスティーが「暗い抱擁」の中で書いている。

「あの晩、ゲイブリエル少佐の所に駆けつけたときのことを。みんな、自分が悪かったんだ、少佐が落選したら自分のせいだって、そればっかりいうんです」(略)

「しかし、彼女が自分を責めることで心を慰めているとすれば、別に悪いってわけでもないんじゃないかな」

「でもあの方に、ゲイブリエル少佐にとってはたまらないわ。あなたのせいじゃないって何度も何度もいわなければならないなんてやりきれないと思うの」(略)

ひょっとするとジョン・ゲイブリエルもミリーの栗色の髪とやさしい茶色の目に見とれ、「何もあなたのせいではありませんよ。心配しないで下さい」と繰り返しいうことをさして苦にしていないのかもしれない。

 (引用元:「暗い抱擁」 アガサ・クリスティー/中村妙子訳 早川書房 太字は引用者)

 

若葉が泣き出したときは、このシーンを思い出して笑ってしまった。

真彩に「俺が悪かった」といい、莉央は寝込み、さらに若葉にまで「若葉、悪くねえじゃん」と言わなきゃいけないのか。逃げ出したくもなるわな。 

 

罪悪感キャラと莉央のような「相手に一挙手一投足に左右されて一喜一憂する(一人では幸せになれない)タイプ」は相性が最悪だが、だからこそこの組み合わせは面白いし繰り返し出てくる。

ただ「中卒労働者」は引っ張りすぎて、同じことの繰り返しになっているところが気になる。

さすがに今回のエピソードで終わりかな。

 何だかんだ言って、楽しく読んでいる。

 

 

続き。ということを踏まえて、「ダークソウルⅢ」のカリムのイーゴンについて考えてみた。

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「罪悪感キャラの恋愛」の解決法としてこんなやり方もあるのか、という衝撃を受けたおばみつ。

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