Steamで世界第三位の売上になり、大きな話題となった台湾製ホラーゲーム「返校」をクリアした。
プレイ時間は4時間程度と短めだ。
自分が好きなタイプの怖さ「自分をとりまく世界が不穏でよくわからない」だったので、プレイしていて楽しかった。
「ジャケ写の雰囲気がいいな」と思った人は、買って損はないと思う。1300円程度で購入できるし。主人公のレイは、最初に見たときすごい可愛いなと思った。好み。
操作性はもっさりしていて、話は一本道、謎解きもそれほど難しくないので、「ゲーム」を求める人にはおススメしない。
「バイオハザード」のような爽快感、「SIREN」のようなゲーム性やパズル的な要素はほぼない。
途中で「サイレントヒル2 最期の詩(*ネタバレ反転)パターンかな」と思ったら、そうだった。
ゲーム性、ストーリーすべて(ネタバレ)のほうが上なので、比べると「どうかな?」という評価になってしまう。このパターンが好きで飽きない、もしくは初めてという人なら楽しくプレイできると思う。
自分は(ネタバレ)はマジ泣きしているので、「返校」もジーンときた。
台湾の歴史が深く関わってくるストーリーで、その点も良かった。
欲を言えば、もう少し歴史や民俗学的なほうに寄せたストーリーのほうが好みだけれど、クリアしたあと、調べてみようかなという気持ちになった。
以下はネタバレストーリーまとめ&感想なので、未プレイのかたは注意。
(ストーリーまとめ)
父母の不和、母親が父親を密告した、という家庭で孤独と絶望を感じていたレイは、教師のチャンとの恋愛だけが支えだった。
しかしチャンに冷たく突き放されるようになり、そのことを恨みに思い、チャンが共産主義思想に関わっている、と教官のバイに密告する。
チャンは同僚教師のインや生徒のウェイと共に、国家が禁じている本の読書会を開いており、レイを危険に巻き込まないためにわざと突き放していた。
レイの密告の結果、チャンは反逆罪で処刑され、ウェイは密告者の汚名を着せられたうえに十五年の禁固刑、インは亡命する。
レイは自責の念から自殺するが、成仏できず今も罪の意識の世界をさまよっている。
怖い話、というよりは悲しい話だった。
ストーリーを箇条書きにするとよくある話なんだけど、見せ方が上手いので、このパターンが好きな人は楽しく没頭できると思う。
戒厳令が敷かれていた時代の台湾が、こんな風だったとは知らなかった。
もしかしたら台湾の若い世代の人に、かつてこういう時代もあった、ということを感じてもらう意図もあったのかもしれない。
バッドエンドはレイの結末を追って、トゥルーエンドで真相を説明するという、二つ合わせて真エンドになっている作りもいい。
レイが年上だと知ったときにウェイが急に、しゃちこばった敬語になるところなど、雰囲気が出ている。個人的にちょっと萌えた。
精神世界だったパターンなら、もうちょっと人間関係を深掘りしたほうが良かったかなと思うが、値段相応に十分楽しめた。