「平家物語」第一話第二話を視た。
すごく面白い。久々に先が楽しみなアニメに出会えた。
原作は有名な歴史ものなので、あとはどうアレンジするかだが、このアレンジの仕方が良かった。
「未来が視えるびわという少女の視点」は、既に歴史を知っている視聴者の視点と相性がいい。これは上手い。
徳子の運命は、でも実は……とか視ていて楽しい。
清盛が悪役、重盛が善玉の配置はまあ定説通りだけど、徳子を始め祇王や仏御前などこの時代を生きた女性の運命や視点に重点が置かれている。
「男の権力者の論理が絶対の世界の女性の生き方」は、「源氏物語」でも描かれているが、出家して俗世を捨てるしか道ない。
「あさきゆめみし」ではしょっちゅう「女にはこんな生き方しか許されないのか」という言葉が出てきた。源氏から一の人と寵愛されていた紫の上でさえ出家を願っていた。
「グイン・サーガ」でも「みんな女であるがゆえに苦しんだ」というセリフが出てくる。
「男(権力者)の論理が絶対の世界観での女性の生き方」は、今後もっと描かれて欲しい。
こういう世界観だと女性は、「世界や運命に抵抗する言葉」すら持たない。
その中で、祇王や仏御前が権力者である清盛に、連帯して静かな抵抗を示すのは良かった。
びわが女の子であることを考えても、この路線で行くのだろうな。
先が楽しみだ。
清盛はどうしても大河ドラマ「平清盛」で松山ケンイチが演じた清盛像の印象が強いので、定説の清盛像のほうに違和感を覚えてしまう。
平氏は武士としてずっと軽んじられており、実は白河法皇の落胤である清盛は、父親・忠盛の武士としての苦悩をずっと見ていた。
血で血を洗う身内同士の争いを繰り広げていた源氏と比較して、清盛は身内を非常に大事にしていた。
「平家であらんずば人にあらず」も、まったく別の文脈で語られる。
鳥羽上皇と崇徳上皇のすれ違いや悲劇など、天皇家や貴族の苦しみを描かれていた。
歴史上「悪役」であった平清盛をまったく別の角度から描く、という目的の話だったので、斬新で面白かった。
半分くらいしか観ていないので、ちゃんと観たいな。
義経を匿って滅びる奥州藤原氏の栄枯盛衰を描いた「炎立つ」も面白かった。
「炎立つ」で主人公たちと深く関わる源義家が、頼朝・義経兄弟の父親義朝の曽祖父だ。
「炎立つ」→「平清盛」→「平家物語」→「鎌倉殿の13人」と観て行くと歴史の流れも抑えられ、色々な視点でその時代のストーリーを楽しめそうだ。