話題になったおけけパワー中島。
突如トレンド入りした「おけけパワー中島」とは、同人女たちの深い業をすべて背負い心を搔き乱す「概念」だった…様々な考察集まる - Togetter
先日、「感想がもらえないので筆を折る」という作家の文章を読んだ。
そのこと自体は特に言うことはないけれど、自分はどの作家が「感想がこないから書くのを止める」と言ったら、
「今までお伝えせずに申し訳ありませんでした! 明日の朝まで寝ずに書けるだけ書きます! せめてこれを読んでから決めてください! お願いします! お願いします!」
と必死こいて叫び出すかを考えてみた。(以下敬称略)
現役の作家だったら、綾辻行人。
まだ三作しか読んでいないけれど、これから全作読んで全て面白かったら奥泉光。
勝手なイメージで申し訳ないが、二人とも本人がやめたくなったら、どれだけ売れていて熱い感想が送っても書かなくなりそうな気がする。逆に感想がこなかろうが売れなかろうが、自分が書きたいうちは書いていそうだ。
奥泉光の「滝」なんて、なめるように読み込んでああでもないこうでもないと考えて三種類感想を書いた。はい、怖い。
「書かれたものの解釈は読み手の自由なんで」と他の作品内に書いてあったような気がするので、どれだけ懸命に感想を書いても「好きに読んでくれ」で終わりそうだ。
作家は読み手の感想など気に留めなくていいと思うので、「読み手の感想でモチベーションが左右される」という作者の作品を好きになると困惑してしまいそうだ。「正直に書いていいのかな」とか色々と考えてしまう。
「ノヴァーリスの引用」は正直に感想を書くと、クソヤバいものになりそうなのでどうにかこうにかあれで収めた。
創作は人のコアに触れる(触れてしまう可能性がある)行為だと思うので、本当に心を動かされた感想は作家も受け止めきれない可能性がある。
村上春樹のところには「この本には私のことが書かれている」「どうして私のことが分かるんですか?」という感想がけっこうくる、という話を読んだ記憶がある。
第三者として読むならそういう感想も面白いけれど、自分が作者だったらちょっと重いと思ってしまうが……どうなんだろう?
重い感想も慣れているという人もいるだろうけれど、そういう人は「重い感想も気にしない」から「感想がこないことも気にしない」という気質な気がする。
「相手が書く気になるような感想を書いて送る」という労力を割きたいほど好きな作家は、そもそも感想が来る来ないも(少なくとも書くモチベーションに直結するほどは)気にしない、そういう作家から生まれた作品だから好きなのでは、というパラドクス。
まあでも「面白い」という思いを伝えるだけでも、書き手の力になる……少なくとも邪魔にはならないと思うので、日々言うことが大事かなとは思う。亡くなった作家はどれだけ好きで面白い、もっと書いて欲しいと思っても新作は出ない。
結局は作家のためではなく、感想を書かずにはいられないほどその作品に心を動かされた自分のためだ。
このブログもおけけパワーを発揮(発散?w)するために書いているようなものだ。
これからも自分が好きなもの面白いと思ったもの興味を惹かれたものに、おけけパワーを注いでいこうと思う。
漫画版「十角館の殺人」二巻は好評発売中。
余談
綾辻行人は、知り合いの作家からの献本の紹介をよくツイートしている。
最近だと「夢魔の牢獄」が面白そうと思った。
男は22年前の友人たちに憑依する。
迷宮入り殺人事件の真相を追って。
タイムリープ・ミステリの金字塔『七回死んだ男』を凌ぐ衝撃!
教師の田附悠成は、過去へ遡って友人たちに憑依するという特異能力を持つ。
だが誰に憑くかは選べない。確実なのは、恩師の義理の息子が殺された22年前に戻ってしまうことだけ。
身をもって体験する友人たちや被害者の不可解な行動、そして隠された女の死。
迷宮入り殺人事件の“あの日”を繰り返す田附が辿り着いた驚愕の真相とは?
(Amazonのあらすじ紹介より)
ループものはよくあるけれど、他の人に憑いてしまう、しかも誰に憑くか選べないという縛りに興味を惹かれた。今度読んでみたい。
余談2
将棋界のことはほとんど知らんのに、この増田を読んだら泣きそうになった。
すごく好きなことを熱く語る文章は、その対象をまったく知らなくても力をもらえるところがいい。