うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

NHK大河ドラマ「青天を衝け」第三回までの感想。ドラマとしてすごく面白い。

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「麒麟がくる」を完走した勢いで、次の大河ドラマ「青天を衝け」を見ている。

www.nhk.or.jp

 

第三回まで見た感想としては、大河ドラマとか歴史などは関係なく「先が気になって目が離せない面白いドラマ」だ。

渋沢栄一については「日本で銀行を初めて作った人?」くらいの認識しかなかったが、前知識がこれくらい貧弱でも楽しく見れる。

 

とりわけいいと思うのは、主人公・栄一の人物像とストーリーのわかりやすさだ。

青年時代だからかもしれないが、栄一はとにかく底抜けに明るく元気で前向き、「陰」というものが逆さに振っても出てこない、愛されキャラだ。

主人公では珍しくないタイプだが、「青天を衝け」の栄一は、よくある「物語内の登場人物たちに特別視されることで、いかに愛されキャラかを表現する」のではなく、(ストーリー内で、他の登場人物に愛されキャラであることを説明させるのではなく)、栄一自身の言動をドラマとして見ていて、愛されキャラであることを納得できる。

ストーリー内で不自然に周りの登場人物から持ち上げられると、その不自然さが鼻につきむしろ反感がわくが、栄一の場合は、ストーリー内ではむしろ周りの人々から(普通に好かれてはいるものの)少しうざいという扱いを受けている。

栄一の家族である父親や姉は栄一に手厳しいし、母親はむしろ栄一の気性を心配している。

また周りの仲間たちも、栄一を特別視している感じはなく、あくまで仲間の一人として溶け込んでいる。

それでいながら視聴者として見ていると、画面の青と緑の美しさも相まって、その爆発的なエネルギーと前向きの精神と、底抜けに明るい笑顔に魅せられずにはいられない。

「青天を衝け」のタイトルに偽りなしだ。

周りの人々も良く、皆働き者の善良ないい人たちばかりなのに、見ていてまったく退屈しない。「善良ないい人たち」であっても、人物像が「生きた人間」として細かく描かれていると、そこにちゃんと人間関係のドラマが生まれるんだなあと思った。

このドラマの上手いところは、栄一たちの「裏」として慶喜のシーンが重しになっているところだ。

慶喜は栄一とは違い屈折した部分や、立場上、既にしがらみを背負わされているため、親である斉昭との関係も栄一とは違い不信が入り混じっている。

「善良な人々に愛されて育った底抜けに明るい栄一の陰の部分」を引き受けており、そういう慶喜がいるからこそ、栄一の明るさや無邪気さがさらに際立つ。

栄一と慶喜がまだ会っていないので、生い立ちをそれぞれ追っているが、それをただストーリーとしてやるのではなく、物語の中でお互いがお互いを際立たせている、という作りが上手くて参る。

脚本の大森美香がベテランだが、二、三作しか見たことがない。古いけれど「ロング・ラブレター~漂流教室~」が大好きだった。ほんと名作だと思う。

 

栄作の子供時代を演じた小林優仁がSNSで急上昇していたらしい。

演技も上手いし、何より天真爛漫な感じが栄作のキャラと合っていた。インタビューをたまたま見たけれど、ドラムが趣味で自分で作曲もしてしまうらしい。凄い。

小林優仁も良かったけれど、自分は慶喜の子供自体を演じた笠松基生を見たとき「おっ」と思った。養子に出されたときに慶喜が感じていた鬱屈と、立場からくる生まれながらの傲慢さと自負がうまく出ていて、いい子が出てきたなあと思った。

「この人物は、こういう背景のこういう人物だな」と細かい演技やセリフではなく、立ち居振る舞いでわかる、ってすごく重要だなと思う。

「麒麟がくる」では同じ将軍でも、将軍になることがある程度予想されていた義輝と寺で僧侶として育てられた義昭では、振る舞いがまったく違った。

「見ているものの考えていることも違うな」と見ているとすぐわかる。一人一人でもすごいなと思うのだけれど、この二人が比較できることでお互いの人物像がさらに際立つようになっている。

出番自体は少ない、セリフはそれほどない人物でも、興味や愛着がわいてくる。

ドラマは演技や演出によってその人物像に解釈が加えられる、小説や漫画とはまた違う面白さがあるよなあと思う。そう思わせてくれるドラマを見ると、新しいドラマが見たくなる。

 

大河ドラマは放映期間が長いので、ある程度面白くても挫折してしまうこともある。

後で考えてやっぱり見ておけば良かったと思うことも多いので、「青天を衝け」は最後まで見届けようと思う。

青天を衝け 前編 NHK大河ドラマ・ガイド

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余談「大河ドラマ見ておけば良かった・見たかったリスト」

★「炎立つ」(1993年~1994年)

当時は見ていなかった。

小説を読んだら無茶苦茶面白かったので、見たい。平泉にも行きたい。

 

★「新選組!」(2004年)

三谷幸喜は当時も好きだったはずなのに、何故か見なかった。

 

★「風林火山」(2007年)

元々見ていなかった。評判がすごくいいので見たい。NHKオンデマンドの配信対象になっているから入会しようか迷う。

 

★「平清盛」(2012年)

途中まで見ていた。最後まで見なかったことをすごく後悔していて、どうしても見たい。

NHKオンデマンドで放映していたら入ろうと思っていたが、やっていない。

頼む、やってくれ。入会します。

 

★「いだてん~東京オリンピック噺~」(2019年)

これも途中まで見ていた。

NHKオンデマンドで(以下略)