「コバルト文庫はラノベかどうか」というまとめを見つけて、コバルト文庫のことを思い出した。
自分が当時読んでいた、コバルト文庫の思い出を気ままに語りたい。
コバルト文庫を知ったきっかけは、ゲームブックまでさかのぼる。
小学生のとき、創元社のゲームブックが大好きだった。
その中に「ベルゼブルの竜」というゲームブックがあった。
魔王の六人の皇子皇女にそれぞれが持つ剣を貸してくれと頼みに行く話だったが、この皇子皇女にそれぞれ個性があってとても面白かった。
ほどなくして「ベルゼブルの竜」とやや似た設定の「宝剣物語」という本をみつけた。今はなき大陸書房から出ていた。
もともとは一般書の扱いだったけれど、後にライトノベルレーベルに移ったので、「宝剣物語」が「自分の人生初ライトノベル」と言っていいかもしれない。
懐かしい。
当時読んでいた雑誌に、コバルト文庫の宣伝が載っていて、そこでたまたま「破妖の剣」というタイトルを見つけた。「宝剣物語」に名前が似ている…と思って興味を持って読みだした。
というのが、コバルト文庫を知ったきっかけだ。
「女子向けで女子主人公のファンタジー。私つえええチートもの」は、当時割と珍しかった。
前田珠子の作品は色々と欠点もあったしどうしても好きになれない部分もあったが、力を持ち頼っていいというパートナーがいても、自分自身で(時にはパートナーを助けるために)戦うという話の骨格は今もすごく好きだ。
(ラスは結局は闇主に頼っているとも思うが、自分の戦いは自分で戦うという姿勢が好きだった。「ジェスの契約」の瞳輝と永は対等のバディものだったが、そこも「ジェスの契約」の好きな要素のひとつ)
「破妖の剣」から入り、「カル・ランシィの女王」「聖獣シリーズ」「トラブル・コンビネーション」「ジェスの契約」「陽影の舞姫」、他レーベルから出ていた「隻腕の神の島」や「魑魅魍魎譚」など読んだ。
このころは特に作風を変えることなく、コバルトやホワイトハートと角川スニーカーや冨士見ファンタジア文庫あたりを横断していた作家が多かった。
「ライトノベル」という呼称が出始めて、大陸書房のように一般書と分けてレーベルを新設されることも多くなった。
「コバルト文庫がラノベと思うか」は、「何から入ったか」「どの作家をメインで読んでいたのか」というのも大きいのかもしれない。
前田珠子の少し後に出てきて、女子大生作家トリオと言われていたのが桑原水菜と若木未生。自分は二人ともそれほど好きではなかったが、友達にそれぞれの熱烈なファンがいた。
若木未生は「ハイスクール・オーラバスター」はまったくハマれなかったが、「ザザ」や「グラスハート」は好きだった。
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桑原水菜はほとんど記憶にないが、自分の周りにはファンの子が多かった。
検索したら「炎の蜃気楼40」とか出てきてびっくりした。意外と長く続いている作品が多い。
ファンタジーは、角川スニーカー文庫や冨士見ファンタジア文庫、大陸書房のものを読むことが多かった。コバルト文庫やホワイトハートでも「カルス・ルー大陸史 空の牙」や「プラパ・ゼータ」とか読んでいたけれど、イマイチだった。
当時一番好きだったラノベ作家は、何回か紹介している通り冴木忍。鬱展開が多いのと、後書きのそっけなさが特徴だった。
コバルト文庫に話を戻すと、そのころ友達とそれぞれ買うシリーズを決めて、お互いに貸し借りしていた。
友達が「星子さんシリーズ」を集めていて、自分は日向章一郎の「放課後シリーズ」と「星座シリーズ」を集めていた。今思うと、そんなに面白いわけではなかったが(すまん)、みずき健のイラストが可愛くて好きだった。
コバルト文庫の中で今でも面白いと覚えているのが、氷室冴子、久美沙織、倉本由宇。恋愛模様よりも、同性同士の人間関係のほうが学びが深かった。このあたりの作家群は、確かに「ラノベ」と言われるとピンとこない。
特に氷室冴子にはハマって、ほとんど全部読んでいる。
「銀の海、金の大地」を読んだときは、こんなにシリアスなものも書けるのかと驚いた。未完になってしまい残念だ。
記憶が曖昧なので、設定を確認したら滅茶苦茶面白そうだ。読み直そうかな。
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大陸書房や冨士見ファンタジア文庫で活躍していてすでにファンだったひかわ玲子が、コバルトで書いてくれたのも嬉しかった。
ただ正直、そんなに面白くなかった。「レーベルに合わせなければ」と気をつかったせいかもしれない。
こうやって考えると、コバルトやホワイトハートの中でもファンタジーばかり読んでいる。
冨士見ファンタジア文庫やスニーカー文庫との違いは「恋愛要素が多めか否か」ぐらいしてか感じなかったが、「フォーチュンクエスト」が後々恋愛要素多めになったり、冨士見ファンタジア文庫出身の冴木忍はそれなりに恋愛要素もある話を書いていたりと、そのあたりも言うほど差はなかった気がする。
自分の感覚的な定義を言えば、「自分が十代のころ夢中になった、恐らく十代をターゲットにしている漫画風のイラストがついている異世界ファンタジーやSF、ミステリーがラノベ」だ。
「レーベルがこうだからこう」みたいなのは、自分の中には余りない。
「灼熱の竜騎兵」もラノベだが、今読んでも面白かった。
「灼熱の竜騎兵」と前田珠子の作品は、自分の中で完全に同じカテゴリーに入っているので、「コバルト文庫はラノベ」と言われも「そうでは」と思う。
でももっと幅広い作品を読んでいた人や他の作家をメインで読んでいた人の中には違和感があるのかもしれないな、とまとめを読んで思った。