うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

歴史

「星の巡礼」感想 サンティアゴ巡礼に行きたくなる。

先日、「サンティアゴ巡礼」を特集したドキュメンタリーを見た。 フランスからピレネー山脈を越えて、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂まで徒歩で巡礼する。 距離や地図だけを見ると「大丈夫か」と思うような道のりだが、現在はツアーも…

【小説感想】持たざる者の残酷な世界への叫び 「なしくずしの死」

なしくずしの死〈上〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 なしくずしの死〈下〉 (河出文庫) 作者:ルイ‐フェルディナン セリーヌ 発売日: 2002/03/01 メディア: 文庫 反ユダヤ主義の差別的言動から国家反逆罪…

【小説感想】高橋克彦「炎立つ」は、「この歴史の先に現代がある」ことを実感させてくれた。

高橋克彦の「炎立つ」全5巻を読み終わった。 炎立つ 全5冊合本版 (講談社文庫) 作者:高橋克彦 発売日: 2017/08/18 メディア: Kindle版 傑作と名高いのもうなずける。 すごい話だった。 「炎立つ」は、異なる年代の主人公三人の話を通して、奥州藤原氏の勃…

【「炎立つ」キャラ語り】「世界を変える異能を持ちながら、性格は小者」源頼義の人物像が面白い。

「炎立つ」第一部の粗筋は、俘囚と理不尽に蔑まれながらも、必死に自分たちの民や国を守る阿倍氏の領土に、朝廷や源氏が自分たちの欲望や保身のために攻め込むというものだ。 個人的には主人公サイドである阿倍氏陣営よりも、敵役である源頼義陣営のほうがず…

【「炎立つ」キャラ語り】世界が強いる「物分かりいい症候群」と戦う流麗がカッコいい。

前九年の役、後三年の役、奥州藤原氏の隆盛と滅亡がわかりやすく描かれている。 大河ドラマでも屈指の名作と名高い、「炎立つ」の小説版を読んでいる。 炎立つ 壱 北の埋み火 (講談社文庫) 作者:高橋 克彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1995/09/06 メデ…

小部隊の戦術学が楽しく学べる「愚者の渡しの守り タイムループで学ぶ戦術学入門」感想

愚者の渡しの守り: タイムループで学ぶ戦術学入門 作者:アーネスト・スウィントン 出版社/メーカー: 国家政策研究会 発売日: 2018/03/25 メディア: Kindle版 経験が浅い青年士官が本隊が来るまで、河の唯一の渡河地点「愚者の守り」を50名の小部隊を指揮して…

読者を「暴力と流血の歴史」に基づいた仮説的世界の神にする。コーマック・マッカーシー「ブラッド・メリディアン」

「ザ・ロード」の興奮を引きずったまま、「越境」に引き続き、「ブラッド・メリディアン」を読んだ。 ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤 (ハヤカワepi文庫) 作者: コーマックマッカーシー,黒原敏行 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/08…

乃木坂太郎「第3のギデオン」は、「息子が父親になるまでの話」として名作。

前々から読みたいと思っていた乃木坂太郎の「第3のギデオン」が三巻まで無料になっていたので、全巻購入して読んでみた。 [まとめ買い] 第3のギデオン 作者: 乃木坂太郎 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ずっと前から読みたいと思っていたが…

山崎雅弘「中東戦争全史」 自分たちも、彼らと同じ構造の中で生きているのかもしれない。

一冊で、今日の中東問題や経緯が一通りわかる。 【新版】中東戦争全史 (朝日文庫) 作者: 山崎雅弘 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2016/08/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る シリアの内戦とイスラム国のことが知りたくて、シリ…

多様化する現代社会の考え方のお供に。石原英敬「現代思想の教科書」

主にソシュール以後の構造主義、ポスト構造主義周辺の思想を取り上げている。 現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫) 作者: 石田英敬 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2010/05/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (7件) を見…

ウンベルト・エーコ「薔薇の名前」は、物語の色々な読み方を教えてくれる。

「薔薇の名前」を久しぶりに読んだ。 薔薇の名前〈上〉 作者: ウンベルトエーコ,河島英昭 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1990/02/18 メディア: 単行本 購入: 11人 クリック: 197回 この商品を含むブログ (185件) を見る 「薔薇の名前」は膨大な知識と…

人はなぜ極地探検に行くのか。角幡唯介「アグルーカの行方 -129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極-」感想。

無茶苦茶面白かった。 感想を書くけれど、この本自体が恐らく北極を探検するということがどういうことなのかの全てを伝えきれないように、「この本の読書体験」を余り伝える自信がない。 タイトルを見て「面白そう」と思った人の期待には十分応える本だと思…

「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」は、他人と読書をする楽しさを教えてくれる。

本書は、世界の各地を旅行しているノンフィクション作家の高野秀行と歴史学者の清水克行が、お題の本を読んでお互いに感想を言い合う対談だ。 題名に惹かれて読んでみた。 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 posted with ヨメレバ 高野 秀行,…

「乙女戦争 -ディーヴチー・ヴァールカ-」をもっと楽しむ。5分で分かる「フス戦争と中世プラハの歴史」

「乙女戦争」を読んだら、「フス戦争」について詳しく知りたくなった。 プラハに視点を固定しているので、状況が分かりやすい。 ボヘミアの歴史まとめ 「ボヘミア王冠諸邦」誕生まで カール大帝の時代~フス戦争直前まで ウィクリフの宗教改革論~コンスタン…

社会人になってから、日本史を勉強したい人におすすめ! 中央文庫版「日本の歴史」が面白い。

昔、読んでいた中央文庫版「日本の歴史」を読み直している。 全26卷+別卷の構成だ。 前は図書館で借りて読んでいたのだが、なかなか読む時間がとれないことと、前よりも読むのに時間がかかるようになっているので、購入することにした。 一冊税込で1337円、…