うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2023-01-01から1年間の記事一覧

「世間では不評の作品だけど、私は大好きだ」という人の熱い語りが好き。

「ソウルシリーズ」はナンバリングによって、世界観やシステムが大きく変わらない。 「無印」も「Ⅲ」もやっているし、評価が割れている「Ⅱ」を今さらやらなくてもいいかと思っていた。 それがこの動画を見たら、やってみたくなった。 ダークソウル2はプレイ…

三人称一元視点において「視点が回ってこないキャラ」との恋愛展開は、叙述トリックのミステリーを読んでいるような面白さがある。

変化草子〈1〉くぬぎの章 (大陸ネオファンタジー文庫) 作者:伊吹 巡 大陸書房 Amazon 子供のころ読んだ時はそこまで面白いと思わなかったが(なのでかなりうろ覚えだった。noteでタイトルを教えてもらった)大人になったいま久し振りに読んだら、滅茶苦茶面…

【読書感想】「チャイルド・オブ・ゴッド」 「ジョーカー」や「アンチマン」よりもラディカルな「社会から孤立し疎外される男の物語」

チャイルド・オブ・ゴッド 作者:コーマック・マッカーシー,黒原 敏行 早川書房 Amazon 主人公のレスターの動向を終始追っている話なので、マッカーシーの小説にしては読みやすい。 マッカーシーの小説の特徴は ①叙景と叙事で成り立っていて叙情がほぼない ②…

【ドラマ感想】「だが、情熱はある」 嫉妬や劣等やドス黒い感情を生む「たりてなさ」こそが自分だから、それでやっていくしかない。

www.saiusaruzzz.com www.saiusaruzzz.com 「だが、情熱はある」が終わってしまった。 今回、若林が夜道で「自分の境遇が自分を取り巻く世界全体のせいのように思えて、何でもいいから怒りをぶつけたくて、もう少し長く目を合わせていたら、確実に殴りかかっ…

「暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史」 労働運動の裏面をのぞいて何とも言えない気持ちになる。

暴君~新左翼・松崎明に支配されたJR秘史~ 作者:牧久 小学館 Amazon 「無力な労働者たちが結束して、自分たちを抑圧する権力(会社・経営者)と戦う」 内輪もめや内部分裂や裏切りや労使協調はあっても、労働運動は基本的にはこういうものだと思っていた…

佐藤究のマッカーシーの作品の解説にいいねを百連打したい&「ブラッド・メリディアン」の感想続き。

www.hayakawabooks.com 「それな!」という感想しかなく(失礼)いいねを百個くらい押したい。 特に文章に言及した箇所には共感しかない。 どのページを開いてもおわかりのように、コーマック・マッカーシーは会話にカギ括弧を使わず、地の文に読点をほとん…

コーマック・マッカーシーが亡くなったので、「ブラッド・メリディアン」をもう一回読む。やっぱすげえ。(小波感)

www.hayakawabooks.com 朝イチでコーマック・マッカーシーの訃報を目にした。 もう89歳だったんだな。 一時期Twitterで流行っていた「名刺代わりの小説10選」を作るとしたら、必ず入るのがマッカーシーの「ブラッド・メリディアン」だ。 こんな小説を自分も…

【ドラマ感想】「だが、情熱はある」第九話 あの黒歴史が今の自分を支えている&このドラマが好きすぎて辛い。

ドラマ「だが、情熱はある」オリジナル・サウンドトラック アーティスト:音楽:T字路s バップ Amazon 毎週毎週待ち遠しくて仕方がない「だが、情熱はある」の第九話を見た。 これは二人の物語。 何者かになりたくて、でも何者になればいいのかわからない。 …

「ルポ 特殊詐欺」 なぜ、使い捨てられるとわかっているのに闇バイトに応募してしまうのか。

www3.nhk.or.jp 大学に入学してわずか二か月で、闇バイトに応募して自動車事故でなくなった人の話を読んだ。 この息子さんは高校も成績優秀で、家族仲も父親と二人で外食するくらい良好、この事件を起こすまで問題行動もなかった。 闇バイトによって使い捨て…

読むことが楽しみな面白い本が一冊あれば、けっこう幸せに暮らせる。

いま読んでいる「暴君~新左翼・松崎明に支配されたJR秘史~」がめっちゃ面白い。 暴君~新左翼・松崎明に支配されたJR秘史~ 作者:牧久 小学館 Amazon この時代の労働闘争は、組織内の勢力争い、暗躍に権謀術策、社会に対する考え方や革命に対する路線の…

「語ることができないこと」に意味がある。「隠蔽するための物語」について。

*「隠蔽するための物語」と思われる話についてのネタバレが含まれます。 www.saiusaruzzz.com 「一方通行の家」が自分にとって面白かった理由である「隠蔽するための物語」(造語)について話したい。 「隠蔽するための物語」とは何かは、以前↓のnoteに書い…

【漫画感想】「一方通行の家」は、「隠蔽するための物語」として抜群の出来だった。

一方通行の家 - 屋嘉壱 | 少年ジャンプ+ 今朝、読んだ「一方通行の家」がめっちゃ面白かった。 *以下ネタバレ注意(未読の人は、上のリンクから先に本編を読むことをおすすめします。) 明確に「おかしい」とは言えないが、奇妙な違和感がある。 この漫画…

「宗教は物語で、哲学は言語ゲーム」 竹田青嗣が語る「宗教と哲学の違い」がわかりやすくて面白かった。

竹田教授の哲学講義21講―21世紀を読み解く 作者:竹田 青嗣 みやび出版 Amazon 個々の人物の思想の説明もわかりやすく面白かったけれど、それ以上に「哲学を読む時にどういう角度で読むべきか」「哲学とはそもそも何なのか」という話が面白かった。 その中で…

「人間は流行り病だ。そばにいるものから毒していく」 名作と名高い「天使の詩Ⅰ・Ⅱ」をもう一度プレイしたい。

突然、「天使の詩」のことを思い出して猛烈にプレイしたくなっている。 子供のころ、ⅠもⅡ(堕天使の選択)もプレイしたはずなんだけれど(ストーリーやムービーを見たことは覚えているし)ゲーム自体は頭から吹き飛んでいる。 Ⅰのエンディングは子供心に多大…

「帝銀事件と松本清張 74年目の真実」の感想 「事実」は多勢の認識によって作られているものに過ぎないのかもしれない。

年末に見逃した「帝銀事件と松本清張」が、たまたまテレビをつけたら放映していたので視聴。見たのは第二部のドキュメンタリー部分。 www.nhk.or.jp 結局「帝銀事件」の真相は未だに分かっていない。 731部隊の人間が、秘密兵器の実験を行っていた登戸研究所…

【小説感想】村上春樹「沈黙」。ネットでは「顔というものを持たない人々」にならないようにしないといけない。

突然、村上春樹の「沈黙」が読みたくなったので再読。 短編集「レキシントンの幽霊」に収録されている短編。 レキシントンの幽霊 (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 村上春樹の作品にしては珍しく、起こる事象が現実的で具体的、抽象度が低いので読…

【ドラマ感想】山里亮太と若林正恭の青春を描いた「だが、情熱はある」が、上質なルサンチマン文学すぎる。

南海キャンディーズの山里亮太とオードリーの若林正恭の半生を描いた「だが、情熱はある」の第三話を見た。(一話と二話は見損ねた) 山里と若林はもちろん知っているけど、それ以上のことはほとんど知らないので、完全にドラマとして楽しんでいる。 創作と…

変化が速い時代だからこそ、スルメゲーをじっくりやりこんでしゃぶり尽くしたい。

「九龍妖魔學園紀」を購入したまま忘れていた、とふと思い出した。 九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE -Switch アークシステムワークス Amazon 2004年に発売されたゲームだが、switchとPS4に移植されて評判も良い。 元々、アトラスの学園ジュヴナイルもの…

対話型AI「チャットGPT」に小説のあらすじを考えてもらったら、思った以上に学びが深かった。

shinonomen.hatenablog.com ↑の東雲さんの記事を読んで滅茶苦茶面白いと思い、自分も「Chat(チャット)GPT」に「400字で小説のあらすじを考えて」と頼んで三種類出してもらった。 タイトルのみ自分で考えた。 あらすじ① 世界にひとつだけの美術品 "> ある日…

筒井康隆「虚人たち」を読みながら「去人たち」を読む。物語とはつくづく「現実的ではない」

kyojintachi.k2cee.com 最初「去人たち」を読んだ時に、よく意味がわからなかった。確か「Ⅱ」の途中で読むのを止めたと思う。 筒井康隆「虚人たち」のオマージュだと聞いたので、「虚人たち」を読めばわかるのかなと思っていた。 最近そのことを思い出して「…

【漫画感想】残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」 暗い世界に閉じ込められた少年たちが辿る残酷な運命。

ライチ☆光クラブ 作者:古屋 兎丸 太田出版 Amazon ぼくらの☆ひかりクラブ 全2巻セット Amazon 既に映画化されていることも知らず表紙買い。 江戸川乱歩に代表される、退廃的で耽美で残酷描写があるインモラルな世界観だ。「グランギニョール」というジャンル…

「実際の物事や人物を元にしたフィクション」は、自分の中で「名作・傑作」であるほうが問題が根深い。

「フィクション」と銘を打っている場合は、まずはフィクションとして読む。 問題があれば指摘すると思うが、自分は自分にとってつまらない作品はすぐに忘れるので「フィクションと、モデルとおぼしき実際の物事や人物との関係性の問題をどう考えるのか」とい…

【小説感想】実際の事件を基にして発刊中止になった「パルチザン伝説」 これを「個人的な物語」と読めないところに分かり合えなさを感じる。

文藝賞の最終候補になり単行本化が決まっていたが、抗議によって急遽発売中止になったいわくつきの作品。 パルチザン伝説 作者:桐山 襲 河出書房新社 Amazon 東アジア反日武装戦線が起こした事件をモデルにしているため、抗議を受けて発売が困難になったらし…

「忌録 document X」の考察をしてみた。

忌録: document X 作者:阿澄思惟 A.SMITHEE Amazon そういえばkindleで購入したなあと思い出し読んでみた。 考察をやってみたが、うまくつながらない部分が多い。細部を詰めるには材料が少なすぎるので、これは細部を詰めると迷路に迷い込むパターンかなと思…

「漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022」感想。左派はなぜ衰退したか。

www.saiusaruzzz.com www.saiusaruzzz.com 戦後の左翼の歴史を追う池上彰と佐藤優対談本の三冊目。 1970年前後を境に学生運動を中心とした新左翼の活動は衰退していき、左翼の活動は労働運動に主戦場を移していく。 三冊目では、左派(の理念)がなぜここま…

【ゲーム感想】「鳥類弁護士の事件簿」逆擬人化×歴史モノ×逆転裁判。重厚なストーリーが面白かった。

鳥類弁護士の事件簿 -Switch レオフル Amazon 「なぜに鳥」と思ったが面白かった。 ルイ=フィリップ治世下で起こったフランス二月革命が背景のストーリーで、その時代の雰囲気や歴史の経緯が十分に楽しめる。 ルイ=フィリップはペンギンでアホの子らしさが…

「ひとり出版社」ってどうなの? 調べてみて感じたこと、考えたことまとめ。

情報が多様化している今は、本に限らず「大勢のターゲットに向かって作る」よりも「必要としている人を絞って、その層に最適化したものを作る(発信する)」方向にさらに進んでいくのでは、と思う。 本を作成・販売するまでの過程を考えるとツールを使えば一…

ブログという世界の面白さは、ひとつの記事を読んだだけではわからない。

note.com 以前、noteで「大勢の人をターゲットにするのではなく、自分と趣味が同じ人が空いた時間に覗きに来てくれるギャラリーを作る」という考え方はいいなと書いた。 SNSが大規模なショッピングモールへの出店なら個人サイトは自宅を改装したカフェのよう…

「自分が所属するコミュニティの価値観に沿う過激さを競い、その忠誠心と引き換えに承認を得る」新左翼が過激化した原因は、現代にも通じるものがある。

前巻の感想。 www.saiusaruzzz.com 激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972 (講談社現代新書) 作者:池上彰,佐藤優 講談社 Amazon 戦前からの左翼の歴史を振り返った「1945-1960」に続いて、「激動 日本の左翼史 学生運動と過激派 1960-1972」…

文庫本の一ページの文字数は何文字が読みやすいか? 比べてみた。

文庫本を作ってみたいと思ったので、一ページの文字数は何文字くらいが読みやすいか、家にある文庫を元に考えてみた。 出版社によっても違うし、出版年数によっても違うし、シリーズによっても違うので「タイトル・出版年数」を参考に記載しておいた。 各出…