うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

ドキュメンタリー

「帝銀事件と松本清張 74年目の真実」の感想 「事実」は多勢の認識によって作られているものに過ぎないのかもしれない。

年末に見逃した「帝銀事件と松本清張」が、たまたまテレビをつけたら放映していたので視聴。見たのは第二部のドキュメンタリー部分。 www.nhk.or.jp 結局「帝銀事件」の真相は未だに分かっていない。 731部隊の人間が、秘密兵器の実験を行っていた登戸研究所…

【映画感想】「MERU/メルー」 人がなぜ山に登るかはわからないがこの映画は凄い。

MERU/メルー (字幕版) コンラッド・アンカー Amazon 正確には映画ではなくドキュメンタリー。 ヒマラヤ山脈の中で前人未踏だった、「MERU/メルー」に三人の登山家が到達するまでの話だ。 有名なエベレストはネパール側からシェルパなどの協力を得て登るが…

「ビルマ 絶望の戦場」感想 日本軍の指導者の欠陥は「道徳的勇気の欠如」ではなく、「興味のない現実は無視すること」ではないか。

NHKスペシャル「ビルマ 絶望の戦場」を見た。 有名なインパール作戦が失敗に終わった後、ビルマで一年間続いた撤退戦の詳細を追っている。 太平洋戦争は「絶望の戦場」ばかりだが、ビルマ撤退戦も悲惨なものだった。 当時の日本軍指導者に欠けていたのは、「…

今までに読んだ、見た、カルトについて描かれたコンテンツまとめ。

カルト(というより、人を取り込む思想全般)について、自分が理解を深められたコンテンツを紹介したい。 オウム真理教関連 オウムと私 (文春文庫) 作者:林 郁夫 文藝春秋 Amazon 地下鉄サリン事件の実行犯の中で、唯一無期懲役となった林郁夫が書いた本。 …

【映画感想】「アメリカが最も恐れた男・プーチン」 プーチンの経歴とロシアの時事を追うには便利だが、視点の偏りが難点。

アメリカが最も恐れた男 "プーチン" Evgeniya Albats Amazon ウクライナ侵攻よりも前の2018年の作品。 時間が1時間25分と短めなので、手軽に見れる。 いいところとしては、プーチンの経歴とロシアの時事との関係が非常にわかりやすい。 KGBに入隊して、旧東…

ザ・ノンフィクション「マタギ修行の若者たち」感想 「生きる実感」は今の時代は贅沢品なのかもしれない。

2022年3月13日(日)に放送された「ザ・ノンフィクション 都会を離れ山で生きる。マタギ修行の若者たち」を見た感想。 秋田の阿仁でマタギとして生きてきた74歳の鈴木英雄さんのところへ弟子入りした、二十代の若者たちの話だ。 阿仁という不便な土地でマタ…

NHKクローズアップ現代+「あさま山荘事件の深層・実行犯が獄中から独白」を見て、連合赤軍事件について再び考える。

2022年2月24日(木)に放送されたNHKクローズアップ現代+「あさま山荘事件の深層・実行犯が獄中から独白」を見た。 「あさま山荘」に立てこもったのは、坂口弘、坂東國男、吉野雅邦、当時未成年だった加藤兄弟の五人。 このうち坂口弘は死刑囚、坂東國男は…

アラスカの北極圏周辺での生活を描く「氷点下で生きるということ」が面白い。

アラスカ・北極圏の周辺の極寒の地で生きる人たちの生活を追うドキュメンタリー「氷点下で生きるということ」を見ている。 第1話 白い道の終わり メディア: Prime Video 少し面白い作りをしていて、アラスカの別々の地でまったく違う生活を送る四組の人々の…

ライブドア事件の経緯をわかりやすく追った「ネット興亡記 敗れざる者たち」第7章・8章が面白かった。

日本経済新聞の連載をまとめた「ネット興亡記 敗れざる者たち」を読んでいる。 ネット興亡記 敗れざる者たち (日本経済新聞出版) 作者:杉本貴司 発売日: 2020/08/26 メディア: Kindle版 第一章 サイバーエージェントの買収騒動 第二章 ネット回線が民間で使…

史上類を見ない大量殺人「津山三十人殺し」の動機は何だったのか。松本清張「闇に駆ける猟銃」

昭和13年、岡山県の現加茂町で起こった「津山三十人殺し」。 たった一人の人間がひと晩で同じ集落の人間33人を殺害した事件で、様々な創作でモチーフとして使われている有名な事件だ。 松本清張が関係者の実際の証言や供述を基にして、事件の構図を探ってい…

旅に行けないから旅を読もう。「グレートジャーニー」

こんな状況だからかもしれないが、久しぶりに「グレートジャーニー」全5巻が読みたくなり、のんびりと読んだ。 グレートジャーニー 人類5万キロの旅 1 嵐の大地パタゴニアからチチカカ湖へ (角川文庫) 作者:関野 吉晴 発売日: 2010/01/23 メディア: 文庫 …

「カルト集団と過激な信仰」第一話「ネクセウム」を見たので感想とメモ。

「カルト」と呼ばれる集団から脱会した人々に、入会した経緯や入会していたときの活動や経験、脱会に至る過程をインタビューしたドキュメンタリー。 NXIVM(ネクセウム) メディア: Prime Video 第一話は自己啓発団体「ネクセウム」。 有名女優もメンバーと…

「星の巡礼」感想 サンティアゴ巡礼に行きたくなる。

先日、「サンティアゴ巡礼」を特集したドキュメンタリーを見た。 フランスからピレネー山脈を越えて、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂まで徒歩で巡礼する。 距離や地図だけを見ると「大丈夫か」と思うような道のりだが、現在はツアーも…

小部隊の戦術学が楽しく学べる「愚者の渡しの守り タイムループで学ぶ戦術学入門」感想

愚者の渡しの守り: タイムループで学ぶ戦術学入門 作者:アーネスト・スウィントン 出版社/メーカー: 国家政策研究会 発売日: 2018/03/25 メディア: Kindle版 経験が浅い青年士官が本隊が来るまで、河の唯一の渡河地点「愚者の守り」を50名の小部隊を指揮して…

起業リアリティショー「メイクマネー」を見て、「世界観が違うと話がかみ合わない」とはどういうことなのかを学ぶ。

You Tubeで公開されている「起業リアリティショー メイクマネー」を何気なく見始めたら面白かった。(*NEWSPICKSのレギュラー番組の番宣で、全編見るには加入が必要。自分はYou Tubeに公開されているぶんしか見ていないが、十分楽しめた) 事業に出資して欲…

「バチェラー3」が面白くていっき見したので、何の遠慮もなく感想を語りたい。

先日読んだ「バチェラー3」の感想が面白かったので、今まで興味がなかった「バチェラー」を見てみた。 バチェラー・ジャパン 予告編 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る あくまで「番組を見ただけの感想」「登場人物たちは、この番組内だけ…

誰かが「災厄」になることを食いとめる「家族という関係性が病んでいる」という考えかた

www.saiusaruzzz.com 前回、「ゴールデンカムイ」の尾形は、アダルトチルドレンの類型のひとつであるスケープゴートではないか、という記事を書いた。「今の時点では自分にはそう読める」というその解釈に基づいて、今回の記事を書いている。 尾形は気の毒…

読めば読むほど、何故冒険に行くのか分からない。角幡唯介「空白の五マイル -チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む-」

www.saiusaruzzz.com イギリスから北米大陸に出る航路を探す旅の途中で全滅したフランクリン隊の足跡を追う、北極探検記「アグルーカの行方」が滅茶苦茶面白かったので、続けて購入。 ツアンポー峡谷という場所自体、自分にとってはとても価値があるところだ…

孤独とは何なのか。「ある世捨て人の物語 -誰にも知られず森で27年間暮らした男-」の感想

2013年4月4日、アメリカのメイン州で無人の別荘地帯に盗みに入った男が捕まる。 捕まったクリストファー・ナイトは、20歳のときに森の中に入って以来27年間、二度簡単な挨拶の言葉を交わした以外は、手紙や文字も含めて一切世間と関わらず生きてきた。 ア…

「プロフェッショナル 仕事の流儀 囲碁棋士・井山裕太 前人未到の偉業その先へ」が恰好良すぎた。

2019年1月21日(月)「プロフェッショナル仕事の流儀 囲碁棋士・井山裕太」を見た。 井山裕太は若いころから騒がれ、囲碁の歴史を塗り替え20代で国民栄誉賞を受賞した、囲碁界に彗星のごとく現れた天才だが、一見するととてもそういう人には見えない。 勝…

人はなぜ極地探検に行くのか。角幡唯介「アグルーカの行方 -129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極-」感想。

無茶苦茶面白かった。 感想を書くけれど、この本自体が恐らく北極を探検するということがどういうことなのかの全てを伝えきれないように、「この本の読書体験」を余り伝える自信がない。 タイトルを見て「面白そう」と思った人の期待には十分応える本だと思…

「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」は、他人と読書をする楽しさを教えてくれる。

本書は、世界の各地を旅行しているノンフィクション作家の高野秀行と歴史学者の清水克行が、お題の本を読んでお互いに感想を言い合う対談だ。 題名に惹かれて読んでみた。 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 posted with ヨメレバ 高野 秀行,…

【ザ・ノンフィクション】「男と女の婚活クルーズ」を見ていて思ったこと。

2018年9月23日(日)に放送された「ザ・ノンフィクション 男と女の婚活クルーズ」の感想です。 44歳舞台俳優のテキサスが、五泊六日の婚活クルーズに参加する。 最も安いプランでも18万円弱の費用がかかるこのクルーズに参加しているのは、高収入の男性ば…

NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」ドラマ版は、ベテラン俳優の演技が圧巻だった。

9月8日(土)に放送された、NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」のドラマ版の感想。 www.saiusaruzzz.com ドラマ版ではより一層、警察組織の問題点が浮き彫りになっていた。 一週間前に放送されたドキュメンタリー版を見て、「一度、一定の方向…

NHKスペシャル未解決事件「警察庁長官狙撃事件」を見て、組織の怖さを思う。

この番組を見て、「そういえばそんなことがあったなあ」と思い出した。 www.nhk.or.jp 1995年3月、地下鉄サリン事件の直後に起こった「警察庁長官狙撃事件」。 2010年に時効を迎えたこの事件の真犯人を名乗る男から、2013年にNHKに手紙が届く。 手紙の主は…

気分が悪くて最後まで読めなかった。ジョン・クラカワー「信仰が人を殺すとき」

「荒野へ」の作者ジョン・クラカワーの本 ジョン・クラカワーの「荒野へ」が大好きで、何回も繰り返し読んでいる。 先日「何か面白い本はないかな」と思ったときに、同じ作者の本を読んでみようと思い本書を購入した。 信仰が人を殺すとき 上 (河出文庫) 作…

「恐すぎる‼」と大反響 松原タニシ 事故物件怪談「怖い間取り」

日曜日の昼間にやっている「ニノさん」だったと思うが、一度だけこの本の作者である「事故物件住みます芸人」松原タニシを見たことがある。その時の話は怖いものではなく、ほのぼのとした話だった。 なので、この本についている「『恐すぎる‼』と大反響」と…

「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」 感想及びメモ

本書は、松本及び地下鉄サリン事件の解明に大きく貢献した、生物兵器化学兵器の専門家アンソニー・トゥーが、中川智正との交流内容を明かした本だ。 松本サリン事件発生時、日本にはサリンに関する知識がほぼなかった。 トゥー氏が書いたサリンについての論…

地下鉄サリン事件を実行したエリート医師の恐るべき純粋さ 林郁夫「オウムと私」感想

地下鉄サリン事件の実行犯の中で、ただ一人、極刑を免れた林郁夫が自らの生い立ちとオウムに入信した経緯、出家したあとのオウムでの日々をつづった本。 林郁夫は医者の父親と薬剤師の母親の間に生まれ、慶應義塾中等部、高等部を経て慶應大学の医学部に進み…

山本直樹「レッド」と「普通の人たち」が引き起こした連合赤軍事件について。

山本直樹の「レッド」の一巻、「レッド 最後の60日間 そしてあさま山荘へ」の一巻が試し読みの対象になっていたので読んでみた。 レッド 1969~1972(1) (イブニングコミックス) 作者:山本直樹 発売日: 2012/11/05 メディア: Kindle版 レッド 最後…