うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2022-01-01から1年間の記事一覧

【漫画感想】「葬送のフリーレン」9巻まで。ヒンメルが生きた「今」とフリーレンの記憶が重なるたびに、涙が止まらん。

*「葬送のフリーレン」9巻までのネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 葬送のフリーレン(9) (少年サンデーコミックス) 作者:山田鐘人,アベツカサ 小学館 Amazon アニメも始まるので、1巻から読み直そうと思ったら結局9巻までいっき読みし…

映画「容疑者Xの献身」を通算五回は観ている人間の、超個人的物語解釈&泣きポイント。

※本記事には映画「容疑者Xの献身」のネタバレがあります。ご注意下さい。 容疑者Xの献身 福山雅治 Amazon 映画「容疑者Xの献身」*1を見るのは、通算五回目くらいだ。 この話の個人的な解釈を以前noteに書いたが、今回観て少し考えが変わった部分もあるので…

【映画感想】芦田愛菜主演「星の子」 社会と教団に共通する構造を、新興宗教信者二世の少女の視点を通して暴く傑作

*映画「星の子」のネタバレがあります。未視聴のかたはご注意下さい。 星の子 芦田愛菜 Amazon 現在、元首相殺害事件に関連して「宗教二世問題」が注目されている。 自分が見たところでは、「星の子」は「宗教二世問題」ではなく、*1それをモチーフにしてま…

学生運動当事者「n=1」のうちのオカンのフェミニズム精神。

小説で「台風だしピザでも頼む?」と攻めが言い出した…倫理観の違いで読めなくなることあるよね「鬼畜攻めかよ」 - Togetter 先日、うちのオカンと話していたら*1 「あさま山荘」籠城―無期懲役囚・吉野雅邦ノート (祥伝社文庫) 作者:大泉 康雄 祥伝社 Amazon…

学生運動の背景を知ることが出来る本の紹介をしながら、適当に雑談をしたい。

少し前にネットで学生運動の話をよく見かけたので、自分が今まで読んだり聞いたりした話と合わせて雑談したい。 この時代の学生運動周囲の話を見ていくと、そのセクトや大学によってだいぶ雰囲気が違う。(考え方が違うので当たり前だが) 例えば立花隆の「…

人は、何を見て「この話は嘘臭い」と思うのか。

ママ友と浮気してる 増田(匿名ダイアリー)は半ばモキュメンタリー的に楽しむものだと思っているので、嘘松でもいい。 むしろそういうものと思っているのに、嘘臭く感じてまったく乗れなかったのは何故か。 自分が「ママ友と浮気してる」から感じた「嘘臭さ…

鈴木エイトが、旧統一教会の問題の要点、政治家とのつながりがどう生まれたのかを語った「9月2日大竹メインディッシュ 」が面白かった。

podcastqr.joqr.co.jp 大竹まことと金曜日担当の青木理が鈴木エイトをゲストに招いて、旧統一教会問題について話を聞いている。 「問題がある団体の政治への影響への批判」と単純に訴えるだけではなく、「なぜ、そういうつながりが出来たのか?」という流れ…

「エルデンリング」を165時間かけてクリアしたので、好きなキャラ・好きな武器・お世話になった遺灰・好きなテキストなど色々なベスト5を振り返りがてら語りたい。

165時間かけてようやくクリアした。 マレニアで心が折れたので、とりあえず一回クリアしようと思いクリアした。 エンディングはラニエンドこと「星の世紀」だった。フィアエンドも見ようと思ったが、セーブのしかたを失敗した。クソ。 二周目もやる予定だが…

【小説感想】「硝子の塔の殺人」が自分に合わなかった理由を細かく考えてみた。

*記事の性質上、内容の核心的なネタバレが含まれます。本編未読の人は、まず本編を読まれることを強くおすすめします。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon 公平に考えて、面白いと思う人もそうとういると思う。 出来不出来、是非の話で…

【漫画感想】「十角館の殺人」全5巻 原作ファンも驚く衝撃の展開と感動の結末に大満足した。

*本記事には原作及び漫画版「十角館の殺人」の重大なネタバレが含まれます。未読のかたはご注意下さい。 *原作未読の人はもちろん、原作ファンにもぜひ読んで欲しい。全五巻。 十角館の殺人(1) (アフタヌーンコミックス) 作者:綾辻行人 講談社 Amazon …

「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」感想 「事実」や「現実」に迫るために必要なのは、「解釈しないこと」に耐えることではないか。

*批判的な内容です。 デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 (集英社学芸単行本) 作者:河野啓 集英社 Amazon 「事実に迫る」うえで必要な要件。 自分が考える「事実に迫るノンフィクション」に必要なことは、第三者が検証が可能なこと、それが難しいのであ…

「この本を立ち読みしたことで、オウムを脱会できた」というレビューが、滅茶苦茶興味深かった。

Amazonで 狂信―ブランチ・ダビディアンの悲劇 人はなぜ“メシア”を求めるのか 作者:ティム マディガン 徳間書店 Amazon という本を見つけた。 1934年にプロテスタント系の異端セクトとして誕生した宗教団体「ブランチ・ダビディアン」の話だ。 「ブランチ・ダ…

「フェミニズム系批評」から学んだフェミニズムの歴史まとめ

「現代批評理論のすべて」の「フェミニズム系批評」の歴史は、フェミニズムそのものの歴史とも大きく重なっている、またフェミニズム以外の思想から大きな影響を受けたり考え方を援用しているので、流れをまとめてみた。 *自分が理解した限りのことを書いて…

人は惰性で、人を殺し続けることが出来る。

www.saiusaruzzz.com 前回書いたこの記事で、「日本軍の指導者に共通していたもの」について考えたが、書き終えたあとどうもしっくりこない。 そんなときに黄金頭さんの記事のこの箇所を読んで「おおっ」と声が出た。 アイヒマンが定年まで仕事をして、「退…

「ビルマ 絶望の戦場」感想 日本軍の指導者の欠陥は「道徳的勇気の欠如」ではなく、「興味のない現実は無視すること」ではないか。

NHKスペシャル「ビルマ 絶望の戦場」を見た。 有名なインパール作戦が失敗に終わった後、ビルマで一年間続いた撤退戦の詳細を追っている。 太平洋戦争は「絶望の戦場」ばかりだが、ビルマ撤退戦も悲惨なものだった。 当時の日本軍指導者に欠けていたのは、「…

「綾辻行人になりたかった」という言葉は、わからないからこそ心に残った。

実家の兄ちゃんが貸してくれた知念実希人の「硝子の塔の殺人」を読んでいる。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon 物語が始まってすぐに、投薬方法の特許を持ち、莫大な資産を築いた登場人物が「私は綾辻行人になりたかったんだ」(P38)…

「ブログはオワコンだ」と言われれば、「そうかもしれないが、それが何か?」としか言いようがない。

先日、はてブで「ブログはオワコン(意訳)」という記事があがっていた。 以前「はてなはオワコン」記事をどこかで読んだような……気のせいか? まあ人のことは自分がとやかく言うことではないので、きっかけはおいておいて「ブログはオワコンか?」という話…

【「エルデンリング」ストーリー考察】「陰謀の夜」と「巨人の火の釜」のエピソードの類似性から、世界の全体像を探る。

*記事の性質上、ネタバレがあります。 「陰謀の夜」と「巨人の火の釜」は、エピソードの型が同じ。 この話は因果関係でストーリーを組むのではなく、神話体系や童話集のように立体的に話を捉えたほうがわかるのではないか。 そう思ったのは、「死のルーン・…

「現代批評理論のすべて」から、フェミニズム系批評を読み直した学びと感想。

現代批評理論のすべて (ハンドブック・シリーズ) 新書館 Amazon 「現代批評理論のすべて」を読み直している。 以前は余り興味がわかなかったフェミニズム系批評、ジェンダー系批評、クィア批評、ポストコロニアル批評が、今回は面白く感じた。 初版が2006年…

「スピノザ 人間の自由の哲学」 スピノザの人生、思想、哲学とは何なのかを分かりやすく教えてくれる。「入門書」の銘に偽りなし。

スピノザ 人間の自由の哲学 (講談社現代新書) 作者:吉田量彦 講談社 Amazon ちゃんと「入門」書だった。 スピノザについて、前から知りたいと思っていたので読んでみた。 哲学の入門書は「入門」と銘を打っていても、とても「入門」レベルではないことも多い…

【エルデンリング考察メモ4】歴史編その2:黄金樹以前~最初の王ゴッドフレイの時代~黄金樹時代~焼失まで。

*記事の性質上、ネタバレが大量にあります。 *他のかたの考察は一切見ていません。 前回。アステールが飛来して、永遠の都が滅びる→シーフラ、エインシル河両文明が生まれたところまで。 www.saiusaruzzz.com 年表 ・黄金樹以前→永遠の都が滅び、大樹根が…

【エルデンリング考察メモ3】歴史編:永遠の都ノクローン、ノクステラ、シーフラ、エインセル文明について。

*記事の性質上、ネタバレが大量にあります。 *他のかたの考察は一切見ていません。 前回。メリナの正体について。 www.saiusaruzzz.com 今回は永遠の都ノクローン&ノクステラ、シーフラ、エインセル文明について。 アイテムのフレーバーテキストを読むと…

【エルデンリング考察メモ2】メリナの正体について/答えにたどり着くまでの迷走(ボツ案)/考察のやり方のルールなど。

前回。エルデンリングの超ざっくりした世界観について。 www.saiusaruzzz.com 今回はメインヒロイン? メリナの正体についての考察。 (©フロムソフトウェア) 頭がはげるほど考えて、最終的に「こうではないか」と考えがある程度固まった。 他の人の考察を…

【エルデンリング考察メモ1】3分でわかる「エルデンリング」。ストーリーの大枠をものすごく簡単に説明。

始めたら寝食を忘れる勢いで没頭してしまった、「エルデンリング」の考察メモ。考えている過程の段階なので、途中で考え直したり色々あるかもしれない。 考えがきちんとまとまったら、「まとめ記事」を作成しようと思う。*1 *記事の性質上、ネタバレが大量…

【漫画感想】「親愛なる僕へ殺意をこめて」 殺人鬼やサイコパスは便利アイテムすぎるので一作に二人まで、というルールが欲しい。

「親愛なる僕へ殺意をこめて」全11巻を読み終わった。 *犯人の名前など物語の核心に触れるネタバレ以外の、若干内容のネタバレがあります。未読の人は注意してください。 親愛なる僕へ殺意をこめて(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:井龍一,伊藤翔太 …

【創作ホラー】「『いないモノ』さま。」

祖母の家にいると、常に誰かに見られているような気がした。 「それはね、『いないモノ』さまだよ」 僕の疑問に、祖母は答える。 「『いないモノ』さまはね、どんな小さな隙間にでもいる。蟻が這いこむような小さな隙間でもね。雨戸の戸袋の中に目を向けたら…

今までに読んだ、見た、カルトについて描かれたコンテンツまとめ。

カルト(というより、人を取り込む思想全般)について、自分が理解を深められたコンテンツを紹介したい。 オウム真理教関連 オウムと私 (文春文庫) 作者:林 郁夫 文藝春秋 Amazon 地下鉄サリン事件の実行犯の中で、唯一無期懲役となった林郁夫が書いた本。 …

【映画感想】「アメリカが最も恐れた男・プーチン」 プーチンの経歴とロシアの時事を追うには便利だが、視点の偏りが難点。

アメリカが最も恐れた男 "プーチン" Evgeniya Albats Amazon ウクライナ侵攻よりも前の2018年の作品。 時間が1時間25分と短めなので、手軽に見れる。 いいところとしては、プーチンの経歴とロシアの時事との関係が非常にわかりやすい。 KGBに入隊して、旧東…

古本の人の書き込みを見た妄想。「興味を惹かれて手に取ったけれど、難しくて挫折しそうな本」も、人と一緒なら読めるかもしれない。

読売新聞の書評欄に金石範の「火山島」が紹介されていて、面白そうだなと興味を持った。 韓国では今も余り語られない、「済州島四・三事件」を題材にした小説だ。 早速Amazonで調べてみたが、電書も文庫も出ていない。出ているのは中古の単行本とペーパーバ…

【NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」感想】頼朝の突然の死で前半戦終了。「鎌倉という磁場」によって、人間関係が徐々に歪んでいく恐ろしさから目が離せない。

第26回「悲しむ前に」で頼朝が死んだ。 一時の「神回」続きから、ここ数回はそれなりの面白さに落ち着いていた。(それでも十分面白いのだが) しかし頼朝の死で、周囲の人間関係の不穏さが増して、自分が期待する面白さが戻ってきそうな予感がする。 特集 …