うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

社会問題

「文化大革命 人民の歴史 1926‐1976」は、これ一冊で、この時代の権力闘争から庶民の生活や心情までひと通り把握できる。

「文化大革命 人民の歴史 1926-1976」を読み終わった。 文化大革命 上巻 作者:フランク・ディケーター 人文書院 Amazon 文化大革命 下巻: 人民の歴史 1962-1976 作者:フランク・ディケーター 人文書院 Amazon この本の特徴は、参考文献の膨大さだ。 引用箇…

2022年1月9日(日)読売新聞朝刊に掲載された、エマニュエル・トッドの「米中対立の今後の展望」が面白かった。

2022年1月9日(日)読売新聞朝刊に掲載された、仏の歴史人口学者エマニュエル・トッドが今後の米中対立について語った話が面白かったので、その感想。(引用箇所は、全て記事から引用) 十四億という過大人口を抱える中国の来るべき人口危機は日本よりも遥…

読売新聞の書評欄「よみうり堂・読書委員が選ぶ2021年の三冊」を読んで読みたくなった本10冊&自分が2021年に読んだ本の中で、おススメの三冊

先日、「書評」が話題になっていたので、「書評を読んで読みたくなった本」を上げてみようかと思いたった。 読売新聞の「書評欄の読書委員が選ぶ『2021年の三冊』」を読んで読みたくなったもの、その中で「特に読みたくなったベスト3」を選んでみた。(青字…

遠いものほどよく見えて、近いものほど粗が目立つ「遠近歪曲のバイアス」について、自分の歪みや偏りを知るのはとても大切なこと、など。

2021年11月25日(木)読売新聞の朝刊「思潮」に掲載された、「遠近歪曲のバイアス」の話が面白かったのでその感想。 「遠近歪曲のバイアス」は、「遠いものほどよく見え、近いものほど粗が目立つというもの」。 「思潮」の中では例として「日本の人口減少の…

【漫画感想】「ヒメゴト~十九歳の制服~」 男装女子×女装男子の恋愛と少女が囚われている闇。二つのストーリーが等価で楽しめる凄い漫画。

「女装男子×援交少女×ボーイッシュだけど実は乙女な女の子の三角関係」 ということでおススメしてもらって読んでみたら、自分にとって好みドンピシャだった「ヒメゴト~十九歳~の制服~」全八巻の感想。 *ネタバレあります。 *性描写が多めで性被害も含む…

したな、自分の前で。「ガウェインの結婚」の話を!

タイトルは一度言ってみたかっただけの出落ちです。すみません。 最初の授業 はてブのホッテントリで「ガウェインの結婚」の話が上がっていた。 「すべての女性は自分の意志を持つことを望んでいる」ここが、基本ですよ。 まあ、少なくとも、ガールフレンド…

【備忘録】新型コロナワクチン接種(二回目)に行ってきた。(接種翌日以降の追記あり)

9月20日(月)1回目接種の様子。 www.saiusaruzzz.com 10月17日(日)10時に二回目の新型コロナウイルスのワクチン接種をしてきた。 二回目接種後の副反応については、もう色々な話を聞きすぎて若干ナーバスになっている。副反応がキツすぎて二度と打ちた…

【備忘録】ワクチン接種(一回目)に行ってきた。(接種翌日の様子の追記あり)

今日、ようやく一回目のワクチン接種が出来たのでその備忘録。 うちの自治体は予約枠が回ってくるのが遅かったので、ジリジリしていた。 9月は家の近くの接種会場で空いていた枠が今日しかなかった。取れてよかった~。 ということで午前中に早速行ってきた…

2021年9月8日(水)読売新聞朝刊に掲載された「アフガン政権崩壊の教訓」の紹介と感想。

2021年9月8日(水)読売新聞朝刊に掲載された慶応大学教授・田所昌幸さんの「アフガン政権崩壊の教訓」が興味深かったので、紹介がてら感想。 *以下は自分の視点が入っているので注意。詳しく知りたいかたは原文を読んで下さい。 主に二点に興味を持った…

2021年8月22日NHKスペシャル「ミャンマー衝撃の映像」の感想

2021年8月22日に放送されたNHKスペシャル「ミャンマー衝撃の映像」を見た。 市民たちがそれぞれ取った、動画や写真をつなぎ合わせて状況を把握する試みをしている。 ネットも軍の監視を受けて情報統制が行われているらしいので、それをかいくぐった貴重な映…

立花隆「脳を鍛える ー東大講義『人間の現在』ー」 知識のフレームワークをどう作るか。

本書は、立花隆が東京大学教養学部で実際に講義した内容を、書籍用に大幅に加筆修正したものだ。 先日の著者の死をきっかけに、十ン年ぶりに再読してみた。 脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 (新潮文庫) 作者:立花 隆 新潮社 Amazon この本で言わんとして…

2021年7月8日(木)読売新聞 日本ペンクラブの会長に就任した桐野夏生のインタビューを読んだ雑感

2021年7月8日(木)の読売新聞に、日本ペンクラブ会長に就任した桐野夏生のインタビュー記事が載っていたので、それを読んだ雑感。 「日本ペンクラブ」は名前くらいしか知らなかったので、ウィキを読んできた。 日本ペンクラブ - Wikipedia 記事内では「言…

当事者たちが語る「天安門事件とは何だったのか」 「八九六四 完全版 『天安門事件』から香港デモへ」感想

「天安門事件」に関わった人たちへのインタビューを集めた「八九六四 完全版」を読み終わった。 八九六四 完全版 「天安門事件」から香港デモへ (角川新書) 作者:安田 峰俊 KADOKAWA Amazon この本を読もうと思ったのは、「天安門事件は名前は知っているけれ…

「創作は『悪』を描くもの」だと思っていた。

以前から言われていたことだけれど、創作内の物事に現実の倫理観を当てはめて批判する、しかもそれを表明する人が増えているらしい。 そうは言ってもごく一部だろう。 世の中は色々な人がいるし。 感想や意見を表明するのは自由だし。 それくらいの気持ちだ…

「『八九六四』を読んで」 気軽な気持ちで「ネットで民主化運動」をしていた人の運命が過酷で、読んでいて辛かった。

天安門事件に当時関わった人をインタビューして、参加者の生の声やその後の人生から「天安門事件」を浮かび上がらせようとする「八九六四完全版 『天安門事件』から『香港デモ』へ」を読んでいる。 八九六四 完全版 「天安門事件」から香港デモへ (角川新書)…

「八人との対話」の中で、立花隆と司馬遼太郎の対話「宇宙飛行士と空海」が面白かった。

立花隆の訃報を聞いて、今まで読んだ立花隆の本のことを思い出した。 「東大生はバカになったか」は、内容はともかく語り口が余り好きになれなかった記憶がある。 実際の講義を元にしている「脳を鍛える」のほうが面白かったと思い、探したら家にも「脳を鍛…

「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」メモと感想。三島由紀夫というスターと尖がっている学生たちの舌戦が理屈抜きで面白かった。

前から観たかった「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」を見た。 最初にまとめ的な全体の感想を書き、次に個々のお題についての自分が興味を持った部分のメモと感想。 *各種話の内容や引いた思想の内容は、自分が理解した限りです。正確な内容は自分で…

「初めてのラカン」としてわかりやすくて超おススメ。「疾風怒濤精神分析入門 ージャック・ラカン的生き方のススメー」

ジジェクからラカンに興味を持った www.saiusaruzzz.com この本に出てきたスロヴェニアの哲学者にして精神分析家のスラヴォイ・ジジェクに興味を持って調べたら、ラカンの娘婿から精神分析を学んだ「ラカン派の精神分析家」であることがわかった。 そういえ…

「SNSの問題はエコーチェンバーよりも、対立する意見の存在が自分のアイデンティティーの危機と感じてしまうところにあるのではないか」という話が面白かった。

2021年5月14日(金)の読売新聞の朝刊に掲載された「動揺する民主主義 番外編 『奔流デジタル』識者に聞く」のひとつ、社会学教授クリス・ベイル氏による「分断解消 SNSで困難に」が面白かった。 SNSを巡っては、自分と似た意見にさらされることで特定の信…

「親から家事の負担を押し付けられていて、色々と問題がある19歳の彼氏と付き合っている14歳の幼馴染が心配なんだけれど、自分に出来ることはないか?」と14歳の女の子に相談されたら、自分だったらどう答えるか。

話題になっていたcakesの人生相談について(元記事は削除済み) いい年した大人だが、適切な対応が出来るか自信がない。 ①回答文で引っかかった点 ②相談を受けたとき、自分がどう考えるか ③実際にはどう対応するか ④①~③を踏まえての結論 を考えてみた。 ①回…

「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」の感想とメモ(後編)~トマ・ピケティ、マルクス・ガブリエル、マイケル・サンデルなど~

www.saiusaruzzz.com 前編の続き。 第三章「不平等を考える」 第四章「アフター・コロナの哲学」 第五章「私たちはいかに生きるか」 の感想とメモ。 青字が引用箇所で太字は引用者。 新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書) 発売日: 2021/0…

「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」の感想とメモ(前編)~ユヴァル・ノア・ハラリ、エマニュエル・トッドなど~

それぞれの分野で活躍している第一人者たちが、コロナがもたらす変化と未来について語るインタビュー集。 新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書) 発売日: 2021/01/20 メディア: Kindle版 その人たちの考えのごく触りを知って、興味のきっ…

「こんな俺にも素敵な彼女ができた」となぜ男が語りづらいかは、「グリフィスがなぜゴッドハンドになったか」を考えればわかるのでは説。

この話は前に考えて自分の中ではまとまってしまっているのだけれど、整理しがてらもう一度考えたい。 *個人がどうというより「社会的規範としての男らしさ」が深く関わる話だと思うので、以後この記事では「男」「女」という語を、「社会的規範として機能し…

「スマホ脳」 スティーブ・ジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?の感想

各国で話題になっている(らしい)スウェーデンの精神科医・ハンセンの「スマホ脳」。 スマホ脳(新潮新書) 作者:アンデシュ・ハンセン 発売日: 2020/11/18 メディア: Kindle版 以前読んだ「デジタル・ミニマリスト」と内容が似通っており、スマホの機能は…

ライブドア事件の経緯をわかりやすく追った「ネット興亡記 敗れざる者たち」第7章・8章が面白かった。

日本経済新聞の連載をまとめた「ネット興亡記 敗れざる者たち」を読んでいる。 ネット興亡記 敗れざる者たち (日本経済新聞出版) 作者:杉本貴司 発売日: 2020/08/26 メディア: Kindle版 第一章 サイバーエージェントの買収騒動 第二章 ネット回線が民間で使…

【漫画感想】「健康で文化的な最低限度の生活」 こういう人たちに社会は支えられている、と実感する。

生活保護受給者の支援や見守りを行う新人ケースワーカーとして配属された、主人公・義経えみるの奮闘を描く「健康で文化的な最低限度の生活」を既刊9巻まで読んだ。 健康で文化的な最低限度の生活(1) (ビッグコミックス) 作者:柏木ハルコ 発売日: 2014/1…

史上類を見ない大量殺人「津山三十人殺し」の動機は何だったのか。松本清張「闇に駆ける猟銃」

昭和13年、岡山県の現加茂町で起こった「津山三十人殺し」。 たった一人の人間がひと晩で同じ集落の人間33人を殺害した事件で、様々な創作でモチーフとして使われている有名な事件だ。 松本清張が関係者の実際の証言や供述を基にして、事件の構図を探ってい…

【小説感想】アイデンティティの確立が出来ないアルバニアの苦難を描く イスマイル・カダレ「誰がドルンチナを連れ戻したか」

「ヨーロッパで最も重要な作家の一人」「ノーベル賞を十回受賞してもおかしくない作家」と海外では高い評価を受けている、アルバニアの作家イスマイル・カダレの「誰がドルンチナを連れ戻したか」を読んだ。 あらすじ 三年前に遥か遠くの国に嫁ぎ、それ以来…

ホロコーストを引き起こした史上最悪の偽書「シオン賢者の議定書」はなぜ生まれたのか。ウンベルト・エーコ「プラハの墓地」

「ホロコーストを引き起こした至上最悪の偽書」と呼ばれる「シオン賢者の議定書」が生まれる過程と、それが広まった憎悪のメカニズムを描いたウンベルト・エーコの「プラハの墓地」を読んだ。 プラハの墓地 (海外文学セレクション) 作者:ウンベルト・エーコ…

「アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治」メモと感想。

「アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治」を読んだ。 アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治 (講談社現代新書) 作者:吉田徹 発売日: 2020/09/16 メディア: Kindle版 現状についてなぜこうなったのか、ということがまとめられている。 以下は自分が理解した限…