うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

こんな風に物語を読んでいる。

ブログを書くようになってから、「物語を読む」とはどういうことかを特に考えるようになった。 このブログを書いている人は、こんな風な考え方に基づいて創作を読んで、感想を書いているんだなあと心にとめて記事を読んでくれると嬉しいと思い、自分の物語の…

誰かが「災厄」になることを食いとめる「家族という関係性が病んでいる」という考えかた

www.saiusaruzzz.com 前回、「ゴールデンカムイ」の尾形は、アダルトチルドレンの類型のひとつであるスケープゴートではないか、という記事を書いた。「今の時点では自分にはそう読める」というその解釈に基づいて、今回の記事を書いている。 尾形は気の毒…

【「ゴールデンカムイ」キャラ語り】尾形百之助のスケープゴート感が、読んでいてしんどい。

Amazonプライムビデオで「ゴールデンカムイ」のアニメを見ている。 ウェンカムイ 発売日: 2018/07/14 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 原作の11巻と17巻に載っている尾形の過去のエピソードを読み返したら、やたらしんどく感じた。 初読の…

【アニメ感想】幾原邦彦監督 「さらざんまい」は「私」には関係のない話だった。

幾原邦彦監督「さらざんまい」を全皿、観終わった。 とりあえず通しで見た感想をあんまりごちゃごちゃ考えず、さらっと、書く。 他の人の感想や考察、製作者のインタビューなどは例によって見ていない。あくまで自分が初見で内容を見ただけの、ただの感想だ…

東元俊哉「テセウスの船」八巻までの感想。もうすぐ最終回&ドラマ化おめでとう。

テセウスの船(8) (モーニングコミックス) 作者: 東元俊哉 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/06/21 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 6月21日に「テセウスの船」の第八巻が発売した。 27日発売の本誌で最終回のようだ。 八巻で「加藤…

「セリフで言っていることはすべてその人の本心」と思っている人に、究極のツンデレ「ダークソウルⅢ」のカリムのイーゴンを紹介したい。

ドラマや漫画などで「セリフで言っていることはすべてその人の本心」と思ってる人に面食らってしまう - Togetter 「セリフで言っていることはすべてその人の本心」だと思っている人って、ミステリーはどうやって読むのだろう。 あと恋愛漫画も読むのが大変…

村上春樹・柴田元幸「本当の翻訳の話をしよう」を読んで、黒原敏行の翻訳にだいぶお世話になっていることに気づいた。

本当の翻訳の話をしよう 作者: 村上春樹,柴田元幸 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング 発売日: 2019/05/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 村上春樹と柴田元幸の翻訳についての本を読むのは、「翻訳夜話」「翻訳夜話2 サリンジャー戦記…

コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」が素晴らしかったので、個人的な解釈を語りたい。

映画化もされたコーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」を読んだ。 ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) 作者: コーマック・マッカーシー,黒原敏行 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/05/30 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 54回 この商品を含むブロ…

「相手にも自分と同じクズでいて欲しい」気持ちを描いた、樹なつみ「パッション・パレード」の神回。

www.saiusaruzzz.com 「蟻の棲み家」は「分断する自分」への無頓着さが気になり、自分の中でかなり評価が低い。ただ感想記事でも紹介した 「安易な区分けは不当に誰かを貶める危険がある。そして不当に貶められた人たちは誇りを叩き壊されて、規範意識を持て…

最貧困男子の苦闘を描いた、望月諒子「蟻の棲み家」は、どうしても他の作品と比べてしまう。

「蟻の棲み家」あらすじ 東京都内の河原で、顔をつぶされた男の死体が発見された。 同じころ起こった、身を売って生活をする女性二人の射殺事件。 フリーライターの木部美智子は、弁当工場の工場長に対する恐喝事件を調べるうちに、稚拙な恐喝事件と、三件の…

【漫画感想】佐々木ミノル「中卒労働者から始める高校生活」は、恋愛ものとして面白い。

前から読みたいと思ったので、既刊12巻までいっき読みした。 [まとめ買い] 中卒労働者から始める高校生活 作者: 佐々木ミノル メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 想像していた内容と違った。 主人公の境遇と、舞台が様々な事情を抱え年代がバ…

今村昌弘「魔眼の匣の殺人」は、遊び心満載の上質なホワイダニットだった。

*「魔眼の匣の殺人」を未読のかたはご注意ください。未読のかたは作品を読んでから本記事を読まれることをおススメします。 魔眼の匣の殺人 作者: 今村昌弘 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2019/02/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る …

【漫画感想】「モンキーピーク」10卷まで。読みかたについての反省会。

2019年5月29日に「モンキーピーク」10卷が発売された。 モンキーピーク 10 作者: 志名坂高次,粂田晃宏 出版社/メーカー: 日本文芸社 発売日: 2019/05/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る だいぶ読むモチベーションが下がっていたけれど、最…

【さらざんまい7話まで】悠が火車らないか心配だ。

火車る。 www.saiusaruzzz.com 悠を見ていると、「火車」の新城喬子を思い出す。 もしくは「アフターダーク」のコロオギ状態……には、誓と一緒に逃げたらなりそうだ。 アフターダーク (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2006/09/1…

山崎雅弘「中東戦争全史」 自分たちも、彼らと同じ構造の中で生きているのかもしれない。

一冊で、今日の中東問題や経緯が一通りわかる。 【新版】中東戦争全史 (朝日文庫) 作者: 山崎雅弘 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2016/08/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る シリアの内戦とイスラム国のことが知りたくて、シリ…

「男性にとっての『友達』はお互いに迷惑をかけあっていい存在」の元ネタ、グリフィスのガッツに対する感情の考察を紹介したい。

togetter.com 先日、ホッテントリに入っていたまとめのタイトルが「どこかで聞いたことがある話だな」と思ったら、自分の記事を介した話だったらしくびっくりした。 自分が記事の中で、「ベルセルクについて、こういう考察をしている人がいて面白かった」と…

曽根富美子「親なるもの 断崖」のわりと細かい話。

[まとめ買い] 特装版「親なるもの 断崖」(フラワーコミックス) 作者: 曽根富美子 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 最近、また読み返したので思いついたことや考えたことを書きたい。 茜というキャラと梅との関係 梅と茜の関係は、最初読ん…

【2019年Bリーグ】チャンピオンシップ決勝戦雑感。アルバルク東京が二連覇、千葉ジェッツ惜敗優勝を逃す。

未だにショックから立ち直れない。 まさか負けるとは…。 今年は絶対にいける、初優勝だと思っていたのに。 漫然とそう思っていたわけではなく、チャンピオンシップの内容を見ていても、今のジェッツとアルバルクならジェッツが勝つだろうと思っていた。 結果…

幾原邦彦監督「さらざんまい」が面白すぎて、5話までいっき見した。

さら~~~~!! さら~~~~!!! さら~~~~!!!! さらざんまい!! #1 つながりたいけど、偽りたい メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る 自分の好みではなさそうだったので、見ようか迷っていた。 つまらなかったら切ればいいんだ…

藤本タツキ「妹の姉」のどこが気持ち悪いのか考えてみた。

話題になっていた藤本タツキの読み切り「妹の姉」は、自分にとっては不気味で気持ち悪い話だった。 せっかくの連休なので自分がこの話のどこがどう不気味で気持ち悪く感じるのかを、ちょっと考えてみた。 作者の周辺情報は特に考慮に入れず、あくまで「妹の…

【2019年Bリーグ】チャンピオンシップ一回戦雑感。川崎ブレイブサンダースは来シーズンに期待。

www.bleague.jp 今年は連休中に行われているBリーグチャンピオンシップ。祭日だと試合会場に行けるし、全試合見れるのでありがたい。 千葉は富樫が絶好調だ。エドワーズのミスの多さと元気のなさが気になるが、パーカーは安定しているし、ダンカンが素晴らし…

アニメ「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」第四話までの感想。亜由美さんがアホの子に見えて辛い。

アニメ「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を第四話まで見た。 『止められない涙』 発売日: 2019/04/20 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る アニメの長さで全ルートと異世界編までやるとなると、これくらいのスピードになる、それはわかる…

PS4「イース8 Lacrimosa of DANA」のストーリーに納得がいかないので、色々と話したい。

PS4版「イース8 Lacrimosa of DANA」を真エンドでクリアした。 イースVIII -Lacrimosa of DANA- - PS4 出版社/メーカー: 日本ファルコム 発売日: 2017/05/25 メディア: Video Game この商品を含むブログ (9件) を見る 任天堂スイッチ版。 イースVIII -Lac…

アガサ・クリスティ原作ドラマ第四弾「予告殺人」が原作以上に面白かった。

www.tv-asahi.co.jp 毎年恒例になりつつある、アガサ・クリスティ作品をドラマ化した相国寺竜也シリーズ。 今年は「予告殺人」かあ、と実はいまいちテンションが上がらなかった。 余り好きじゃないんだ。 親族内・家内・地域内の箱庭的な人間関係、ある気づ…

多様化する現代社会の考え方のお供に。石原英敬「現代思想の教科書」

主にソシュール以後の構造主義、ポスト構造主義周辺の思想を取り上げている。 現代思想の教科書 (ちくま学芸文庫) 作者: 石田英敬 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2010/05/10 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (7件) を見…

人は何に最も騙されやすいのか。カトリーヌ・アルレー「わらの女」

「塚本廉」が嘘だったんじゃない、全部が嘘だったんだ|カフカと知恵の輪 小保内太紀|note この記事を読んで、「わらの女」を思い出した。 なぜこういう人に人は引き寄せられてしまうのだろうか。 「いいですか。私は、たった今、非常に重大な質問をした。…

アニメ版「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を二話まで視聴した感想。ゲームとは印象がけっこう違った。

yuno-anime.com アニメ化にあたってはいくつか不安があった。 ひとつめはゲームで一番の売りだったA.D.M.Sをどう表現するのか。 「時間を巻き戻しても、起こった出来事が積み重なって物語となること(時間は可逆でも歴史は不可逆)」「その積み重なった歴史…

「自立して男に頼らない、主体的に動く女性が主人公」のラノベ「女戦士エフェラ&ジリオラシリーズ」が懐かしい。

少し前に話題になった「自立して男に頼らない、主体的に動く女性が主人公のアニメはあるのか」という話で、「女戦士エフェラ&ジリオラシリーズ」を久しぶりに思い出した。 anond.hatelabo.jp [まとめ買い] 女戦士エフェラ&ジリオラ(幻狼ファンタジアノベ…

仲間由紀恵・阿部寛主演ドラマ「トリック」エピソードごとの感想

第1話 発売日: 2017/07/15 メディア: Prime Video この商品を含むブログを見る Amazonプライムビデオで、ドラマ「トリック」を見て、今さらハマっている。 劇場版を見て余り面白いと思わなかったので、長年「自分には合わないドラマだ」と思っていたが、ドラ…

自分が始めた物語をたった一人で戦い続ける「ワンダと巨像」という神ストーリー。

www.saiusaruzzz.com 前回の記事で、「他者は他者である限り、自分という存在を規定し、縛り、歪め抑圧する可能性を内包する存在」であることを「他者が内包するリスク」と仮に名付け、その「リスクを取ってでも他者といるのか」という軸で「赤ずきんの狼弟…