うさるの厨二病な読書日記

厨二の着ぐるみが、本や漫画、ゲーム、ドラマなどについて好き勝手に語るブログ。

2021-01-01から1年間の記事一覧

「八人との対話」の中で、立花隆と司馬遼太郎の対話「宇宙飛行士と空海」が面白かった。

立花隆の訃報を聞いて、今まで読んだ立花隆の本のことを思い出した。 「東大生はバカになったか」は、内容はともかく語り口が余り好きになれなかった記憶がある。 実際の講義を元にしている「脳を鍛える」のほうが面白かったと思い、探したら家にも「脳を鍛…

「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」メモと感想。三島由紀夫というスターと尖がっている学生たちの舌戦が理屈抜きで面白かった。

前から観たかった「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」を見た。 最初にまとめ的な全体の感想を書き、次に個々のお題についての自分が興味を持った部分のメモと感想。 *各種話の内容や引いた思想の内容は、自分が理解した限りです。正確な内容は自分で…

NHK大河ドラマ「青天を衝け」第18回までの感想 すごく面白いが、一体どこがそんなに面白いのか。

凄く久しぶりに「観終わったあと、一週間後の放送が楽しみな感覚」を味わっている。 大河ドラマ「青天を衝け」|NHKオンライン 日曜日の八時にはテレビの前に正座待機するくらい面白い。 一体何がそんなに面白いのか、考えてみた。 一番大きい要素は、主人公…

アンチミステリにして思想小説にして青春小説。多元的宇宙を持つ 奥泉光「ノヴァーリスの引用」

前回の感想は衝撃の余り取り乱してしまったので、「どうせまたいつか読むだろう」と書いた通り、気持ちを落ち着けて再読してみた。 *以下ネタバレが含まれます。 ノヴァーリスの引用/滝 (創元推理文庫) 作者:奥泉 光 東京創元社 Amazon 前回はラストの衝撃…

「進撃の巨人」最終巻まで読んだ感想。「進撃の巨人」のここが好きだった。

「進撃の巨人」最終巻34巻を買った。読んだ。終わった。終わってしまった。 進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:諫山創 講談社 Amazon こういう終わり方になるとは思わなかったし、最終回を読んだ直後は「こんなに綺麗に終わっていいの…

【映画感想】細田守監督「未来のミライ」を面白く見るたったひとつの方法

自分は細田守監督作品とは余り相性がよくない。 「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」と三作観て、「自分には合わないな」と思ったので、その先の作品は観ていなかった。(「時をかける少女」は良かった。) 今更ながらアニメ映…

「面白いものを共有したい」ではなく、「共有できるものが面白い」になるのはキツイ。

タイトルで全てなので、これ以上書くこともないのだけれど、創作について「わからないものはつまらないと思われるようになった」という話を目にしたので、それについて。 興味を持って触れてみた。 ところが読み(見)続けて、考えてみてもわからない。「だ…

【ゲーム感想】「海楼館殺人事件 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2」 昔なつかしの推理ADVの雰囲気をたっぷり楽しめた。

ニンテンドーSwitchで「海楼館殺人事件」をプレイした。 元々はアプリ用のゲームなのかな。 ちょっと短めだけど、値段も500円なので後述する部分以外は満足だ。 ストーリーは、大手建設会社の会長が洋上に趣味で建てた海楼館のイベントに主人公たちが招待さ…

解釈違いは、なぜ「怖い」のか。

www.saiusaruzzz.com 「創作における神とは、その作品内のみで機能している『作品固有のルール』ではないか」という話を前の記事で書いた。 そのことをよく表しているのが、「ブラッド・メリディアン」の判事のセリフだという話も合わせて書いたのだけれど、…

「『考察とは何ぞや?』から始まる創作をどう読むか」についての持論

いま、ちょっと話題になっているので、「考察とは何ぞや?」についての持論をまとめておきたい。(あくまでこのブログにおける持論) 創作における神は「創作内でのみ機能する独自の法則性」 「考察」とは、物事を明らかにするためによく考え調べることだが…

「小説を読むことは、情報の認識の方法の差から生まれる特殊な癖」だという持論。

「創作に携わっている人でも小説を読まない人がいる」 「今の小説界隈で受けるのは、極端なことを言えばセリフ劇で日常の一コマを切り取ったものだ」 という話を読んだので、「小説を好んで読む人と読まない人」について考えていることを書きたい。 自分が今…

「初めてのラカン」としてわかりやすくて超おススメ。「疾風怒濤精神分析入門 ージャック・ラカン的生き方のススメー」

ジジェクからラカンに興味を持った www.saiusaruzzz.com この本に出てきたスロヴェニアの哲学者にして精神分析家のスラヴォイ・ジジェクに興味を持って調べたら、ラカンの娘婿から精神分析を学んだ「ラカン派の精神分析家」であることがわかった。 そういえ…

【漫画感想】「All You Need Is Kill  ーオール・ユー・ニード・イズ・キルー」 恋愛と人類滅亡の危機の食い合わせの悪さ。

*漫画版のみの感想です。 *ネタバレあります。 All You Need Is Kill 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:桜坂洋,竹内良輔,安倍吉俊,小畑健 発売日: 2014/06/19 メディア: Kindle版 「マヴラブかな?」と思うと「マヴラブ」に見えてしまう。 被っている設…

ニンテンドーswitchで「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」が発売されるそうなので、カップリングの解釈がほぼ一致していた漫画版「聖戦の系譜」について語りたい。

topics.nintendo.co.jp ニンデンドーswitchで「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」が発売されるらしい。 「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」は、自分が人生で一番プレイしたゲームだ。 www.saiusaruzzz.com 上の記事は攻略メインのカップリングについて。 …

「SNSの問題はエコーチェンバーよりも、対立する意見の存在が自分のアイデンティティーの危機と感じてしまうところにあるのではないか」という話が面白かった。

2021年5月14日(金)の読売新聞の朝刊に掲載された「動揺する民主主義 番外編 『奔流デジタル』識者に聞く」のひとつ、社会学教授クリス・ベイル氏による「分断解消 SNSで困難に」が面白かった。 SNSを巡っては、自分と似た意見にさらされることで特定の信…

【小説感想】村上春樹「女のいない男たち」 自分の特異性をどうやりくりしていくか。

公開された「ドライブ・マイ・カー」のPVが良かったので、久しぶりに読んでみた。 女のいない男たち (文春文庫) 作者:村上春樹 発売日: 2016/10/07 メディア: Kindle版 映画はコロナが治まっていたら見に行きたいけれど……どうかな。 ひとつひとつの話を読み…

【小説感想】大人に見捨てられた少女たちが路上で生き抜く「路上のX」

寝る前に読み始めたのは不正解だった。 途中で読むことがやめられず、結局一気読みしてしまった。 路上のX (朝日文庫) 作者:桐野 夏生 発売日: 2021/02/05 メディア: Kindle版 ネグレクトされた居場所のない少女たちが、自分たちを搾取しようとする大人たち…

【漫画感想】安野モヨコ「監督不行届」 「愛に癒されました。ごちそうさまです」という感想にすべてが行き着いた。

www.saiusaruzzz.com 「後ハッピーマニア」を読んだあと、そういえば「監督不行届」を最初のほうしか読んでいないな、と思い出して購入。 kindle版だと385円だったのでもデカかった。 安野モヨコ(ロンパース)の「カントクくん」に対する愛情が、これでもか…

「江戸文化から見る男娼と男色の歴史」 知っているようで知らなかった詳細がわかって勉強になった。

江戸文化から見る 男娼と男色の歴史 発売日: 2019/08/20 メディア: Kindle版 同じ作者の「江戸を賑わした色町文化と遊女の歴史」と合わせて購入。 「男色が江戸時代、一般的にどういう位置づけだったか?」や男娼の歴史、男娼を斡旋する陰間茶屋はどこに存在…

「親から家事の負担を押し付けられていて、色々と問題がある19歳の彼氏と付き合っている14歳の幼馴染が心配なんだけれど、自分に出来ることはないか?」と14歳の女の子に相談されたら、自分だったらどう答えるか。

話題になっていたcakesの人生相談について(元記事は削除済み) いい年した大人だが、適切な対応が出来るか自信がない。 ①回答文で引っかかった点 ②相談を受けたとき、自分がどう考えるか ③実際にはどう対応するか ④①~③を踏まえての結論 を考えてみた。 ①回…

【漫画感想】安野モヨコ「後ハッピーマニア」2巻まで。「わきまえない女」たちの痛快さは健在だった。

後ハッピーマニア(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS) 作者:安野モヨコ 発売日: 2020/08/06 メディア: Kindle版 ※ネタバレがあります。未読の人は注意してください。 4月24日二巻が発売されたので、さっそく購入して読んだ。 「後ハッピーマニア」を初…

【小説感想】「『山月記』の作者が語る、文字とは言葉とは何なのか」 中島敦「文字禍」

文字禍 作者:中島 敦 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 タイトルが気になって衝動読みした短編。著者は「山月記」で有名な中島敦。 青空文庫やkindle版で無料で読めます。 文字とは何か、ということを的確に表した傑作。 文字を覚えて以来、咳が出始め…

弱者男性文学としてのドストエフスキー「貧しき人々」

先日、ネットで弱者男性について話題になっていたが、その時に「貧しき人々」を思い出した。 貧しき人々 作者:ドストエフスキー 発売日: 2016/09/07 メディア: Kindle版 「貧しき人々」の主人公マカール・ジェーヴシキンは、俗にいうKKO(キモくて金のないお…

「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」の感想とメモ(後編)~トマ・ピケティ、マルクス・ガブリエル、マイケル・サンデルなど~

www.saiusaruzzz.com 前編の続き。 第三章「不平等を考える」 第四章「アフター・コロナの哲学」 第五章「私たちはいかに生きるか」 の感想とメモ。 青字が引用箇所で太字は引用者。 新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書) 発売日: 2021/0…

「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」の感想とメモ(前編)~ユヴァル・ノア・ハラリ、エマニュエル・トッドなど~

それぞれの分野で活躍している第一人者たちが、コロナがもたらす変化と未来について語るインタビュー集。 新しい世界 世界の賢人16人が語る未来 (講談社現代新書) 発売日: 2021/01/20 メディア: Kindle版 その人たちの考えのごく触りを知って、興味のきっ…

「進撃の巨人」完結おめでとうございます。11年7か月お疲れ様でした!

*ネタバレなし感想です。 と言いつつのっけから、「オレ達の戦いはこれからだ!!」に笑った。やってくれるぜ。 単行本派なので話の細かい部分についていけていないけれど、まずは完結めでたい&長期連載本当にお疲れ様でした。 まさか、こんな風に終わると…

【「鬼滅の刃」キャラ語り】伊黒小芭内というキャラの面白さを、188話を基にしてじっくり語りたい。

*原作と公式ファンブック1・2の情報のみを基にして書いています。 *独自解釈が爆発しているので、解釈違いがOKの人だけ読んでください。 先日、「グノーシス主義」の本を読んで22巻188話の伊黒の独白を思い出した。 自分が「鬼滅の刃」を好きな理由の六…

【ゲーム感想】「シャドーコリドー 影の回廊」のノーマルエンドをクリアした感想。やりこみ要素が満載で、滅茶苦茶中毒性が高い。

やっとクリアできた。長かった。 真エンドも見ていないし、外縁もクリアしていなし、こけし&アーカイブ収集、達成の証もまだまだなので頑張りたい。 とりあえずノーマルエンドをクリアした感想。 ゲームの感想 www.saiusaruzzz.com 前にも書いた通り、ゲー…

「グノーシア」をもっと楽しむ。「グノーシス 古代キリスト教の『異端思想』」感想

「グノーシス主義」の本で読んだ二冊目だけれど、先に本書を読んだほうが良かった。 前回読んだ「グノーシスの神話」は、それぞれの派閥の神話の内容を見ていく本で「グノーシス主義」の分布や歴史の全体像は掴みにくかった。 それに対して本書は、「グノー…

【アニメ感想】代わり映えしないからこそ、いつでも迎えてくれる場所「空の青さを知る人よ」

アマプラで「空の青さを知る人よ」を見た。 「公開当時見ておけば良かった」とずっと思っていたので、見れて良かった。 空の青さを知る人よ 発売日: 2020/06/10 メディア: Prime Video 全体の印象としては、「誰かに支えられているとはどういうことなのか」…